屋根塗装における工程のひとつとして「縁切り」があります。
縁切りは、雨漏りの防止や屋根の状態を維持するためには必要な工程です。
縁切りが見積もりに入っていない業者は悪質だという記事を見かけますが、実は全ての屋根に必要というわけではないです。
ここでは縁切りについて詳しく紹介していきたいと思います。
屋根塗装の縁切りとは、屋根材と屋根材の重なり部分にすき間を作ることです。
すき間というと、雨水が室内に入ってくるイメージですが、実は屋根材の重なりには適度なすき間が必要です。
このすき間というのは屋根の内部を通る雨水の逃げ道にっている大切なスペースです。
しかし、このすき間を塗装の際に塗料の厚みでつぶしてしまうことがあります。
そこで、潰れたすき間をカッターナイフ等で切る作業を「縁切り」といいます。
縁切りを怠ると、屋根の内側の雨水の逃げ場がなくなるので、溜まってしまいます。
逃げ場を失った雨水は、屋根材の下にある防水シートを浸食します。
ここにダメージを負うと、屋内に雨水が浸入し、雨漏りが発生してしまいます。
また、屋根の内部結露により水が溜まり、防水シートの浸食や木部の腐食を引き起こしてしまいます。
まず知っておいて欲しいのは、縁切りは大切な作業ですが、必須ではないということです。
縁切りが必要である場面というのは限られています。
では、どのような場面で必要になるのか、3つのポイントを挙げていきたいと思います。
ではどのような場合に縁切りが必要なのか、不要なのかポイントを挙げていきたいと思います。
前提として、縁切りが必要なのはスレート屋根の場合に限られます。
現在の住宅には多くスレート屋根が採用されていますが、スレート屋根自体の厚みが5ミリほどしかないので、重なり部分のすき間も少ししかありません。
そのため、塗装によってすき間が潰されやすく対処が必要です。
勾配とはつまり角度のことで、屋根の勾配が緩やかな場合は縁切りが必要になります。
反対に、屋根の勾配が急であれば、雨水は少しの逃げ道さえあれば下方に流れてくれるので縁切りは不要になります。
屋根の勾配は、周囲の住宅と比べてあまり差がないという場合は、縁切りが必要なケースが多く、角度が急に感じる場合は不要となる場合があります。
このポイントが一番重要です。
屋根塗装の方法は基本的に二つに分かれます。
1.ローラーによる塗装
2.吹き付けによる塗装
ローラーで塗装する場合、屋根材が重なり合う部分もしっかりと塗装するため、屋根材の段差にローラーを押し当てるように塗装するので、そこに塗料が大量に吐出されます。
なので、塗料の厚みでフタをするようにたくさんんの塗料が付着するので縁切りが必要です。
一方の吹き付け塗装では、塗料をスプレー状に吐き出すため、薄く均一な塗装が可能になります。
屋根塗装では、エアーレスという機械を使って吹き付けを行います。
エアーレスは、薄く吹くのに向いているため、すき間を潰しません。
つまり、エアーレスによる吹き付け塗装であれば、勾配が緩いスレート屋根でも縁切りは不要になります。
屋根塗装は、エアーレスによる塗装が主流なので多くの住宅では縁切りは不要ということになります。
今回は、縁切りについて紹介させていただきました。
縁切りは、雨漏りを防ぎ、屋根の状態を維持するためには重要ですが、屋根の素材や塗装方法によっては縁切りは必須ではないということが分かったのではないでしょうか。
むしろ、今では縁切りが必要な事例のほうが少ないです。
また、今では縁切りに代わるタスペーサーという屋根材の重なり部分に差し込むことで、適度なすき間を確保できるモノもあります。
タスペーサーを使うことで、塗装の仕上がりの美しさを保ちつつ、費用も抑えることができます。
今後、屋根塗装をされる方、すでにされた方も見積もり書に縁切りの項目が無いけど大丈夫?と思った方は、塗装方法や、屋根の素材などを見てみると良いかもしれません。