雨漏りはさまざまな原因で発生します。
屋上（陸屋根）やベランダ・バルコニーに起因する雨漏りなら、その原因はもしかするとドレンかもしれません。
ドレンを原因とする雨漏りは、比較的よくあることですが、なかなか気付きにくい箇所なので、注意しておく必要があります。

ドレンという言葉を初めて聞いた方、修理はどうなるの？とご不安な方へ。
今回は、ドレンが原因の雨漏りについて、メンテナンスと修理の方法などを詳しく解説いたします。

ドレンとは？

ここでいうドレンとは、ベランダ・バルコニーや屋上などの排水口に設置してある部材、あるいは排水口そのものを指していいます。

通常、ベランダや屋上の床面には勾配がつけられており、排水口に雨水が集まるよう設計されています。
そして、その雨水などを決まったルートで外部へ排出するときの起点となるのがドレンです。
ちなみに、ドレンの由来とされているのは、「排出する」という意味がある英語の「drain」です。ドレンをドレインと呼ぶこともあります。

ドレンの役割や構造

住宅のベランダや屋上で使用するドレンのおもな役割とは、床面に降り注いだ雨水を、雨樋などを経由して効率的に外部へ排出する役割を担っています。
そのため、ドレンが正常に機能することでスムーズな排出が可能となります。

しかし、その一方で、ドレンがうまく機能しないと、排水不良が発生して雨漏りや浸水などを引き起こす原因となってしまうのです。

また、ドレンは、鋳物製やステンレス製、樹脂製などの種類があるほか、ゴミや異物がドレンに詰まりを防ぐための「ストレーナー」と呼ばれるキャップなどもあります。
ドレンの一般的な構造は、ドレンと雨水を外部へ排出するためのパイプを接続し、さらに設置したドレンの上から防水工事を施して仕上げています。

横引きと縦型の違い

住宅のベランダや屋上で使用するドレンには、大きく以下の2種類があります。

横引きドレン…穴が横方向に設置してあるもの

縦型ドレン…穴が床面に設置してあるもの

横引きドレン

縦型ドレン

こんな症状には要注意！

雨漏りの原因がドレンのトラブルであれば、なかなか気付きにくいのが現状です。
アメピタでは雨漏りの原因が分からなくても、現場へ伺い調査し、解決へ努めますのでお問合せの際にはわかることだけお伝えいただければ大丈夫です。

しかしそれでもある程度、原因の予想が付けば安心感もあると思います。

そこで、ドレンが原因で雨漏りが起こった場合、どのような症状が現れやすいのか、代表的な例についてご紹介したいと思います。

屋上階下の雨漏り

屋上（陸屋根）階下にある室内で雨漏りが起こった場合、ドレンが原因となっている可能性があります。
そもそも陸屋根とは、勾配のないフラットな屋根のことをいい、マンションでは一般的によく見られるほか、戸建て住宅においても人気の高い屋根形状のひとつです。

陸屋根の屋上は、床面に防水工事が施されており、緩やかな勾配をつけてドレンに雨水が集まるよう設計されています。
ところが、ドレンにトラブルが生じて漏水があると、その階下にある空間は直接的な被害を受けやすいのです。

屋上は、常に雨風や紫外線にさらされているので、ドレンや防水層が劣化しやすく、防水機能の低下によって、その階下で雨漏りを引き起こすことがあります。

1階天井からの雨漏り

ルーフバルコニーの直下にある室内の天井から雨漏りが起こった場合、ドレンが原因となっている可能性があります。ちなみに、ルーフバルコニーとは、1階の部屋の屋根となる部分に設置したバルコニーのことであり、つまりその下に部屋が存在するタイプのバルコニーです。
一方、バルコニーの下に部屋がないタイプは、キャンチバルコニーといって、一般的にルーフバルコニーと区別して扱われます。

ルーフバルコニーに降り注いだ雨水は、ドレンまで集めて、そこから外部へと排出されるようになっています。ところが、ドレンのトラブルで漏水が発生すると、その下にある部屋の天井から雨漏りが発生するわけです。

ルーフバルコニーではない場合も、ドレンで発生した雨漏りが隣接する1階の部屋へ影響を及ぼすことがあります。
1階の部屋であっても、その上にルーフバルコニーが設置されているようなら、ドレン部分が原因となって雨漏りが起こることは少なくありません。

ベランダ・バルコニー裏のシミ

ベランダ・バルコニー床の裏側、つまり下から見上げたときのベランダの軒天にシミが現れていた場合も、ドレンが原因で雨漏りが起こっている可能性があります。
ちなみに、ベランダとは、建物の2階から上にある外部へ突き出したスペースのうち、屋根があるタイプのものをいいます。そして、屋根のないタイプがバルコニーです。

ベランダも雨水はドレンまで集められ、そこから排水管を通じて外部へと排出されるようつくられています。ところが、ドレンにトラブルが生じて漏水があると、ベランダ裏に雨水が回り込み、軒天にシミとなって現れるわけです。

ベランダ裏だけであれば、それほど大きな被害には見えませんが、ベランダの構造体が腐食を始めているかもしれません。さらに室内へと拡大していくようなら被害も甚大なものになります。

ベランダ裏のシミだからと軽視するのではなく、早めに専門業者へ相談して対処を検討することをおすすめいたします。

ドレンが雨漏りの原因になる理由

ドレンが原因の雨漏りは、実はよくあることなんです。しかしイメージしづらい方も多いと思います。
では、どのような原因でドレンから雨漏りが発生するのか？その原因について、代表的なものを以下に解説していきましょう。

ドレンパイプの劣化

ドレンパイプが劣化すると、漏水につながりやすく、雨漏りを引き起こすことがあります。外側から見ただけでは分かりにくいので厄介です。

ベランダや屋上の雨水は、ドレンまで集められ、そこから接続したパイプを通じて外部へと排出される仕組みとなっています。
しかし、このパイプが劣化して変形したり、割れていたりすると、結合部やパイプそのものに隙間が生じ、そこから水が漏れて雨漏りにつながるのです。

とくに、横引きタイプのドレンは、壁を貫通するように、短い距離のなかでパイプと接続して固定するので、地震発生時には揺れを吸収できずに割れてしまうケースがあります。また、縦型タイプでも、複数の継ぎ手を使った複雑な配管を行うようなケースでは、その接合部で漏水のリスクは高まってしまいます。

以上のように、ドレンパイプの劣化は外から見えにくく、漏水があった場合でも発見が遅れてしまいがちなので、特に注意しておく必要があるでしょう

ドレンの詰まり

ドレンが詰まって排水不良が生じると、雨漏りを引き起こすことがあります。

ドレンには、ほこりや土砂、落ち葉、その他のゴミなどが雨水といっしょに流れてきます。それらを放置したままにしておくと、どんどん溜まってしまうので、ドレンを詰まらせてしまうことも珍しくありません。

ドレンが詰まると、適正な排水が行われなくなるので、常に雨水が溜まった状態となってしまい、場合によっては水が溢れて室内や外壁内に流れ込んでしまうことがあります。
また、ドレンの周辺の防水層が劣化して、ひび割れなどが生じているようなら、そこから雨水が浸入して、雨漏りの原因になっていることもあります。

ドレンの詰まりは、雨漏りの原因となり、さらにはドレンの腐食や防水層の劣化を促す原因にもなります。排水口周りにいつも落ち葉などが溜まっていないでしょうか？このような状態をつくらないようにすることが重要なのです。

ドレン修理の方法は大きく2種類

ドレンにトラブルがあった場合、ドレンと、必要に応じその周りを修理し雨漏りを抑えます。なるべく被害が大きくならないうちに修理し、家財や建物の構造などへの二次被害がないようにするためにも、雨漏りかなと思ったらお早めにご相談ください。

ドレンの修理方法は大きく分けて以下の2つです。

改修用ドレンを使用

まずは、改修用ドレンを設置することによって機能を回復する方法です。ドレンが劣化した場合はほとんどこの方法で修理いたします。

改修用ドレンとは、既存のドレンの上に装着して使用するドレンのことをいい、既存のドレンを覆うプレートとドレンパイプへ差し込むホースが一体化された形状になっていることが特徴となります。
また、横引きと縦型の2種類のタイプがあり、既存のドレンに合わせて設置します。

改修用ドレンの素材

改修用ドレンは、おもに鉛製、銅製、塩ビ製などの種類があります。
鉛製や銅製は、比較的柔らかい素材なので、既存の下地の形状に合わせるようにハンマーなどで叩きながら変形させて設置するものです。
また、塩ビ製は、塩ビシート防水の場合に使うもので、溶融着により設置します。

改修用ドレンの設置事例

改修用ドレンは、既存のドレンパイプに差し込むように取り付けた後、さらに防水工事を施して仕上げるといった流れが一般的です。
既存のドレンの上から取り付けるので、改修用ドレンと周囲との間に段差が生じてスムーズな排水を妨げることがないよう、調整しながら設置する必要があります。

築15年でベランダから雨漏りが起こり、ドレンの修理と併せ防水工事を行いました。漏れた雨水が壁内部を伝って、階下の部屋に被害を出してしまったのです。

既存ドレンのストレーナーを取り外し、清掃
改修用ドレンのホースをドレンパイプにさし込んで取り付け

プレート部分をハンマーで叩いて形状をなじませる
改修用ドレンの上から防水工事

屋上やベランダ・バルコニーの防水工事を改修するときも、雨漏りが起こっていなくてもこの改修用ドレンを使って雨漏り予防します。

ドレンの交換

既存のドレンを新しいドレンと交換することで機能を回復する方法もあります。

改修用ドレンは、既存のドレンパイプにホースを差し込んで設置するので、どうしても既存より径が小さくなり、設置場所によっては詰まりが生じやすくなることがあります。このようなケースでは、新しいドレンに交換で対応することもあります。

この場合は周りを壊して設置しなおすなど工事の規模が大きくなりがちです。
ですので可能な限り改修用ドレンで修理できるのがベストです。

日ごろからのメンテナンスが大切です！

ドレンに落ち葉や土砂、その他ゴミなどが詰まってしまうと、排水不良が起こり、プールのように雨水がたまることがあります。とくに台風が通過した後などは、ビニール袋のような大きなものが飛んできて、ドレンの排水を妨げている場合もあります。
そうなると、雨漏りを引き起こしたり、あるいは防水層やドレンそのものを劣化させたりすることにもつながるので、日ごろからドレン周辺の掃除を心掛けるなど、雨水の排水が適切に行われる状態を保つことが重要です。

また改修用ドレンで修理を行った排水口は、元よりも一回り径が小さくなっています。今後もより一層チェックしてあげましょう。

排水不良が起こる前に、日ごろから清掃をしてきれいにしておくことをおすすめいたします。