「できる限り雨漏りしにくい屋根にしたい!」雨漏りで苦労された経験があるお客様は皆さんそうおっしゃいます。
戸建て住宅で起こる雨漏りは、屋根の材料や形状、またその他の要素が影響することがあります。
屋根のメンテナンスやリフォームをお考えで
「我が家の屋根は雨漏りしやすいのでは?」「どのような屋根が雨漏りしにくいの?」と疑問や不安をお持ちの方へ。
戸建て住宅で雨漏りしにくい屋根と雨漏りしやすい屋根について、詳しく解説いたします。ご参考にしてください。
雨漏り修理やリフォームされるお客様から、「雨漏りしにくい屋根ってありますか?」と聞かれることがあります。
どんな屋根材でも雨漏りの可能性はあります。
そのため、屋根材ごとにどのようなリスクが存在するのかその特徴を知り、雨漏りから建物を守るために十分な注意を払うことが重要になります。
結論として、雨漏りしにくい屋根なら
●金属屋根(ガルバリウム・SGLなど)
●縦葺き
●切妻屋根
を挙げます。その理由を解説していきます。
住宅の雨漏りしやすさ、雨漏りしにくさは
屋根の形にも影響を受けることがあります。雨漏りしにくい屋根とは、シンプルな形状の屋根となります。というのも、複雑な形状をした屋根は部材どうしの
「接合部」が多くなり、そのような場所ではとくに劣化が起こりやすくなるためです。「接合部」で使用する部材は、板金など、屋根材よりも劣化しやすいものが多く、雨漏りが発生するリスクはどうしても高くなってしまいます。
また、その他にも、
屋根の勾配が急であればあるほど、水はけはよくなるので、雨漏りのリスクは軽減されます。それでは、雨漏りしにくい屋根の形について、種類ごとに解説していきましょう。
切妻屋根 | シンプルで雨漏りの要因になる箇所が少なく雨漏りしにくい屋根と言える。 |
寄棟屋根 | 切妻屋根に比べると接合部が多くなる分、雨漏りリスクが増す |
片流れ屋根 | シンプルに見えるが棟から壁側に回り込みやすい点に注意。その他軒がない側の傷みも早くなる |
招き屋根 | 切妻屋根に似た形状で雨漏りしにくい屋根といえる。段違いになっているタイプは外壁と屋根との取り合いに特に注意が必要 |
入母屋屋根 | 複雑な形状のため雨漏りリスクは高い |
陸屋根 | 勾配がほとんどなく水はけが悪いので防水施工を十分にする必要がある |
切妻屋根は、非常にシンプルで水はけもよいので、
最も雨漏りしにくい形状といえます。
雨漏りリスクが高くなる
接合部は頂上にある大棟の1箇所だけであり、この部分の対策を十分に行っておくことで、雨漏りの多くを防げるようになります。
仮に雨漏りが発生した場合でも、その原因を特定しやすいので、修理やメンテナンスを行いやすい点も有利です。
雨漏りしにくい屋根は?と言われれば
切妻屋根のガルバリウム鋼板(SGL)縦葺きを一番におすすめします。
寄棟屋根は、一般的によく見られる屋根形状ですが、シンプルな切妻屋根と比べると少し複雑です。
切妻屋根が2面を組み合わせた形状であることに対し、
寄棟屋根は4面を組み合わせた形状です。そのため、
接合部が5箇所となるので、切妻屋根よりも雨漏りリスクはどうしても高まってしまいます。
ただし、
軒先を長くすることで、4方すべての外壁面を雨などから保護できるので、外壁に起因する雨漏りに対しては効果的です。
片流れ屋根は、一見シンプルな形状であり、接合部も少ないので、雨漏りしにくいと思われがちですが、実はそうではありません。
というのも、雨水が棟から屋根と逆側の外壁へ向かって流れやすく、
屋根と外壁の接合部から雨水が浸入するリスクがあるためです。また、屋根が1方向に対して傾斜していることから
、軒先側以外の外壁面や破風板は紫外線や雨水の影響を大きく受けて劣化しやすくなります。外壁の劣化は、目地などから雨水が浸入する雨漏りの原因となります。
招き屋根は、切妻屋根の片面を短く、またもう片面を長くした形状であることから、接合部が1箇所だけの比較的シンプルな構造となります。そのため、切妻屋根と同様に、
雨漏りしにくい形状といえます。ただし、短い屋根面と長い屋根面が段違いになって設置する、いわゆる
「差し掛け屋根」も招き屋根として扱われることがありますが、このタイプは特に、
低い方の屋根と外壁の取り合いで雨漏りに注意しなければいけない形状です。
築年数が長く入母屋屋根のお住まいはとても格式高く感じられ、状態を良く保たれている方も多いように感じます。
しかし入母屋屋根は、
非常に複雑な形状をしており、接合部も多いので、雨漏りしやすい構造となります。また、入母屋屋根は、とくに伝統的な日本家屋に多く見られることから、瓦屋根が使われていることが多く、
漆喰の劣化による雨漏りにも注意が必要です。
陸屋根とは、屋上などの、屋根部分がフラットになっている屋根のことです。シンプルな形状に見えますが、
雨漏りしやすい構造と言えます。というのも、屋根に勾配がほとんどない分、
水はけは悪く、雨水が床面にたまりやすいので、その影響を受けてしまうことがあるためです。もちろん十分な防水施工をしてあるはずですが、それが経年で劣化したり、排水が詰まったりすることで雨漏りにつながります。
陸屋根の周りを囲む
パラペットや笠木を原因とする雨漏りも多いのです。
では、
リフォームで雨漏りしにくい屋根の形に変更できるのか?というと、可能なこともあります。現在の形や希望の形によってはできないこともあります。
家の高さや面積が変わることで法律的に問題が出ることもあるので確認が必要です。ただし、大掛かりな工事になるため
費用は数百万円かかります。どうしても屋根の形を変更しなければいけない理由がないのなら、
あまりおすすめはしません。現在の屋根で最大限、雨漏りしないよう対策をしていきましょう。
屋根の形を今から変えるのは難しいですが、屋根材なら変えられるケースがあります。
戸建て住宅で使われている屋根材の雨漏りリスクと注意点について、代表的な3つの種類ごとに解説していきましょう。
| メリット | 雨漏りリスク |
瓦屋根 | 耐久性が高く、粘土瓦なら50年の耐用年数も期待でき、水を吸わない | 瓦のズレや割れ、棟・漆喰、谷板金の劣化から雨水が下地に流れ込み雨漏りへつながる恐れがある |
スレート屋根 | 瓦より安価に施工できることから人気があり多く使われている | スレートの劣化や割れが下葺きの防水紙の劣化を招く。また棟やケラバ、谷などの劣化にも注意が必要 |
金属屋根(ガルバリウム鋼板) | 軽量で耐久性が高く水を通さない。特に縦葺きなら屋根の継ぎ目が少なく雨水浸入のリスクも少ない | 錆が大敵なので定期的な点検は必要。また歪みや捲れから雨漏りに発展することがある。特に棟板金には注意 |
瓦屋根は、古くから伝統的な日本家屋で使用されてきた屋根材で、大きく「粘土瓦」や「セメント瓦」などの種類があります。
「粘土瓦」はさらに、表面に釉薬を塗って焼成する「釉薬瓦」や釉薬を塗らずにそのまま焼成する「無釉薬瓦」などに分けられます。
※ちなみに「セメント瓦」は、かつてかなり流行した時期があり、また現在でも多く見かけますが、現在新築では使われません。
瓦屋根の特徴といえば、なんといっても耐久性の高さで、「釉薬瓦」で50年以上、「無釉薬瓦」で40~50年、「セメント瓦」でも30~40年程度といわれています。
しかし瓦屋根は、材料そのものは高い耐久性を発揮するものの、構成する部材が要因で雨漏りが発生するリスクがあることには注意が必要です。
瓦屋根では雨漏り対策として以下のような点をチェックします。
瓦のズレ、割れ
下葺きの状態
棟や漆喰の劣化
谷板金の劣化
台風のような強い風が吹きつけたり、または物が飛んできて衝突したりすると、いくら耐久性の高い瓦でも、ズレや割れが生じてしまうことがあります。
そして、ズレや割れの部分から雨水が入り込むようになると、下地が傷み始め、雨漏りを引き起こす原因になってしまいます。
瓦がズレたり割れたりしているだけでは雨漏りは起こりません。雨を最終的に防いでいる下地(下葺き)が傷むことで雨漏りは発生するのです。
瓦の場合、昔ながらの土が敷き詰められている場合と、防水紙が敷いてある場合があります。瓦をめくって状態を確認すると、土が痩せてほとんどなくなっていたり、防水紙が破れてぼろぼろになっていることなどがあります。表面上、瓦に問題がないように見えても、築年数が長いときには特に要注意です。
棟は屋根の頂部です。多くは内部の土や漆喰で固定されていますが、経年で劣化してくるとズレやゆがみを起こします。
特に漆喰は劣化して剥がれるとそこから雨の浸入を招きます。
強風などで棟が崩れると雨漏りの危険度も高まるので、その前に漆喰の詰め直しや棟の取り直しをしておくと安心です。
瓦屋根の谷には板金が敷かれますが、
錆びて穴が空いたりするとやはり雨漏りにつながります。
スレート屋根は、セメントを主成分とした薄い板状の屋根材で、商品名である「コロニアル」や「カラーベスト」などと呼ばれることもあります。
瓦よりも材料コストが安いことや軽量なことから良く使われました。
しかし、耐久年数は15~20年程度と、それほど高いものではありません。しかも塗装によるメンテナンスが必須です。雨漏り点検で伺うとメンテナンスのされていない苔誰家のスレートを目にすることも多いのです。
スレート屋根では雨漏り対策として以下のような点をチェックします。
スレート屋根の劣化
スレート屋根の割れや欠け
板金の劣化
スレート屋根は、紫外線や汚れなどの影響を受けて表面塗装が劣化すると、防水性が衰えてくるので、少しずつ本体が雨水を含むようになります。スレート屋根が吸水するとコケやカビが繁殖することが多く、そうなると常に湿った状態が続くので、劣化は加速して進行します。
屋根材の下には防水シートが敷かれていることから、スレート屋根の劣化によって直ちに雨漏りが発生するわけではありません。
しかし、防水シートも当然に劣化するものであり、雨水の影響を受け続けると、そのダメージから雨漏りにつながる可能性は高まります。
スレート屋根は、非常に薄い材料です。
そのため、強風で物が飛んできたり、あるいはアンテナや太陽光パネルなどの工事を行ったりしたときに、物理的な力が加わると割れや欠けが発生することも少なくありません。また塗装メンテナンスを怠ることでスレートの強度は下がります。
スレート屋根の割れや欠けは、その下の防水紙に影響を与えるので、雨漏りにつながる原因となります。
スレート屋根は、棟板金、ケラバ板金、軒先板金、谷板金と多くの部分で
板金が使われています。屋根の頂上部分にある棟板金は雨風の影響を受けやすく、それだけに
棟板金が剥がれると雨漏りの恐れがあります。また谷板金は、雨水が集まる場所に設置されるものなので、傷みやすく、そして雨漏りが起こりやすい場所です。
それ以外にも各所に板金(金属部品)が使われているので、
釘のゆるみや浮きがないか、雨漏りを起こしにくい屋根にするためにチェックしておきたい部分です。
金属屋根は、その名の通り金属製の素材でつくられた屋根のことをいいます。
金属屋根といえば、かつての主流は「トタン」でしたが、現在は「ガルバリウム鋼板」が一般的に使われているほかさらに進化した「SGL鋼板」などの種類があり、注目度の高い屋根材です。
金属屋根の特徴は、軽量であることや高耐久であることなどが挙げられ、とくにその耐用年数は「ガルバリウム鋼板」で20~30年程度、「SGL鋼板」で30~50年程度といわれています。
また、金属屋根は、そもそも水を通しにくい素材であることに加え、頂上から軒先方向へ向けて施工する「縦葺き」による仕上げは、水はけがよく、雨漏りしにくい屋根としておすすめしたい屋根です。
金属屋根では雨漏り対策として以下のような点をチェックします。
金属屋根の劣化
板金の劣化
金属屋根の主流となっているガルバリウム鋼板は、錆びにくい素材ではあるものの、金属製である以上、劣化による錆びを完全に防ぐことはできません。
金属屋根は、表面に塗装が施されており、その塗膜が劣化すると防水機能が衰え、サビが発生しやすくなります。サビが発生したまま放置すると、穴が開いてしまうこともあるなど、雨漏りを引き起こす原因になります。
また金属屋根は割れることはほとんどありませんが、結合部からゆがんだり捲れたりということがあります。放置するとひどくなり雨漏りに繋がってしまいます。
金属屋根の場合も、多くの部分で板金が使われています。
スレート屋根と同様に、棟板金や谷板金などの劣化が原因で雨水の浸入を許してしまい、雨漏りが起こってしまうことがあります。
雨漏りしにくい屋根を考えるとき、屋根材や屋根形状以外にも、注意しておきたい要素があります。
以下のような屋根も雨漏りがよく起こってしまうケースです。
屋根周りをスタイリッシュに見せる、
軒が短い(ない)屋根が増えています。軒が短い屋根は、外壁面を雨から保護する効果が小さくなるので、雨漏りのリスクは高くなります。というのも、軒が短いと、
外壁面や窓などの開口部へ雨がかかりやすく、劣化を促してしまうためです。また、通常なら軒先が守ってくれる
屋根と外壁との接合部にも雨水の影響が及びやすく、そこから雨水が浸入するリスクが高まることにも注意が必要です。
勾配が緩い屋根は、
雨水がスムーズに流れ落ちにくく、水はけが悪いので、雨漏りしやすいといえます。屋根の勾配が緩いと、表面に雨水が留まりやすくなり、その部分に汚れが付着したり、またはカビやコケ、錆びが発生する原因になります。それにより屋根材が傷んで雨漏りリスクも高まるのです。
この場合、
雨を流しやすい金属の縦葺きを推奨します。雨漏り調査で伺うと、勾配が緩いのにスレートなどが使われ顕著に傷んでしまっていることも少なくありません。
下屋部分は、
外壁との接合部があるので、雨漏りしやすい箇所です。外壁を伝ってきた雨水が接合部に溜まりやすく、防水のための処理を施していても、劣化で傷みが生じると雨漏りを招いてしまうことがあります。
施工不良により防水処理が十分でない場合もあるので、注意が必要です。
この下屋はメインの屋根より勾配が緩いことも多く、先に書いたように、その点でも雨漏りしやすい屋根と言えます。
ここまで雨漏りしにくい屋根、素材や形状による雨漏りリスクについてご案内してきましたが、
絶対に雨漏りしない屋根は存在しません。屋根材や屋根の形で雨漏りしやすさに多少の違いはあるものの、やはり
定期的に点検とメンテナンスをすることが雨漏り対策として最も有効な方法といってよいでしょう。現在雨漏りにお困りの方。もう雨漏りはこりごりな方。リフォームするなら雨漏り対策を万全にしたい方。雨漏りしにくい屋根にするために、どんな屋根材を使って、どこに施工の重点を置くかは、そのお住まいの
形状、築年数、立地条件によっても違います。これまで地元の多くの屋根やお住まいを見てきたアメピタが、
長く安心して暮らせるお住まいに必要なリフォームや修繕工事、対策をご案内させていただきます。
雨漏りしにくい屋根・雨漏りしやすい屋根はある?のまとめ
「雨漏りしにくい」屋根なら、「金属屋根(ガルバリウム・SGLなど)」「縦葺き」「切妻屋根」をおすすめします
どんな屋根でも「雨漏りしない屋根」はありません、状況にあったメンテナンス・雨漏り対策が必要です
屋根はシンプルな形の方が雨漏りリスクは少ないです。そのため「切妻屋根」が一番雨漏りしにくい屋根と言えます
屋根材はそれぞれにメリットや注意点がありますが、縦葺きの金属屋根は水はけがよいので雨漏りのリスクが少ないといえます
軒が短い(ない)屋根、勾配が緩い屋根、下屋も雨漏りが起こりやすいので要注意です
定期的な点検とメンテナンスが、雨漏りを起こさないための近道です