屋上やベランダ・バルコニー防水のメンテナンスをお考えの方。
雨漏りが起こって修繕をご検討中の方。
「通気緩衝工法」という言葉を見聞きしたかもしれません。また実際に業者から通気緩衝工法での施工をすすめられたかもしれません。
実は通気緩衝工法は雨漏りと深い関係があります。

通気緩衝工法とは？うちも通気緩衝工法にした方が良い？とお悩みの方へ。
通気緩衝工法とはどのような防水工事なのか、どんな場合に採用すれば効果があるのかなど詳しく解説します。

通気緩衝工法とは？

「通気緩衝工法」とは、防水工事の工法のひとつです。
主にウレタン防水やFRP防水で用いられ、工法は大きく「通気緩衝工法」と「密着工法」の2種類に分かれます。

水蒸気を逃がすことができる通気緩衝工法

通気緩衝工法は、屋上、ベランダやバルコニーの床に防水施工する場合、塗布した防水材の内側に水分が発生し膨れてしまう現象を軽減するために最適な方法です。
膨れが起こるのは、下地に含まれている水蒸気が逃げ場を失って床と塗料の間に残ってしまうことが原因なんです。

通気緩衝工法は、通気性能のある通気緩衝シートを貼り付けた後、その上から防水材を塗布します。そうすることで、外部に水蒸気を逃がすことができるため膨れることもなく安定した施工が可能になります。

下地と防水層が固着しませんから「絶縁工法」と呼ばれることもあります。

密着工法との違い

対して密着工法とは、下地に直接防水施工するイメージです。通気緩衝シートを挟まないので「密着」です。複雑な形状の場所でも施工がしやすいのが特徴です。
新築や、特に防水上の問題が起こってない場所であればこの方法で行われます。

工程がシンプルで材料が少ない分密着工法の方が安く、通気緩衝工法は密着工法に比べて一般的に1.2〜1.3倍程度費用が高くなります。

雨漏りしているなら通気緩衝工法が必須です！

費用の安い密着工法ではダメなのか？と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかしアメピタでは特に、すでに雨漏りが発生してしまっている屋上（陸屋根）やベランダには、通気緩衝工法をご提案しています。

そもそも通気緩衝工法はビルやマンションの屋上など既存の床がコンクリート造の場合によく使用されます。
既存の床がコンクリートの場合は、密着工法で工事を行ってしまうとコンクリート内に染み込んでいる水分が閉じ込められ、蒸発できずに膨れ現象となって現れてしまいます。
太陽光が当たって床の温度が上昇し、内部の水分が水蒸気となって上がってくるからです。ところが逃げ道がないことで蒸発できずに水分となって残留し膨れあがるのです。

そして、雨漏りしている場合も下地が中までかなり湿った状態ですよね。
そのため雨漏りしている屋上やベランダ・バルコニーには、水分を逃がすことのできる通気緩衝工法が必須ということなのです。

雨漏りしているような場所に密着工法で施工すると、後で膨れが発生しあちらこちらで目立ってくるでしょう。破れて穴が空いてしまうかもしれません。
実際、防水の膨れでご相談をいただいたとき、補修のため膨れを切り裂いてみると、中から水が流れ出てくることもあります。

正しく提案・施工してくれる業者に依頼しましょう

雨漏りしているのに通気緩衝工法で行わない業者や、事前にその説明が無い業者は知識が乏しいか、ただ契約が欲しいだけかもしれません。

屋上やバルコニーの床などは知らず知らずの間に劣化し、普段は問題に気づきにくい場所でもありますよね。気がついた時にはもうすでに雨漏りがしていたということも少なくありません。
費用だけでは決めず、点検のうえ、工法についてしっかりとした内容が説明されて、なぜこの工法が適しているのか納得のいく提案をしてくれる業者を選びましょう。

さらに通気緩衝工法は施工の際、通気緩衝シートや脱気弁や脱気筒などの部材を多く使用するため工程も多く経験が必要です。
施工事例など経験と実績があるのかもポイントの一つになります。
知識だけではなく職人の技術も確認しておく必要があるということです。

アメピタでは施工する場所や面積、状態に応じて、密着工法が良いのか通気緩衝工法が良いのかをご説明しご提案しています。
ご不明な点やご不安なことがあれば遠慮なくご質問ください。

	適している場所	コスト
密着工法	・狭いベランダ ・複雑な形状をした場所	安価
通気緩衝工法	・床がコンクリート ・雨漏りしている場所 ・屋上など広い場所	密着工法より1.2〜1.3倍程度高い

通気緩衝工法の注意点

通気緩衝工法のメリットはここまで解説したように、閉じ込められた水分を逃がすことができることです。
床下地と防水層が密着しないので、下地がもし劣化していても影響を受けにくいのもメリットの一つです。
また、床がコンクリートの場合は通気緩衝シートによってコンクリートの亀裂やひび割れなどを抑制することも可能です。

通気緩衝工法のデメリット

費用がかかる

前述したように、密着工法に比べると、少しコストが高くなるのがデメリットの一つです。工程が多い分工期も長くなります。
しかし安い方が良いからと密着工法にした結果、すぐに補修が必要な状態になりかねませんので、適切な方法で施工してもらった方が安心できるでしょう。

脱気弁・脱気筒の設置が必要

通気緩衝工法では、挟み込んだシートを通して水分を逃がすために、脱気弁や脱気筒などの設置が必須です。それが邪魔に思えて見た目にもすっきりしないという声をいただくことがあります。
よく出入りするベランダなどではできる限り考慮いたしますのでご相談ください。

通気緩衝工法　施工の事例と手順

築14年、コンクリートがひび割れた陸屋根にウレタン塗膜通気緩衝工法

「陸屋根（屋上）の床がひび割れていて雨漏りが心配」とのご相談をいただき、ウレタン防水の通気緩衝工法にて施工した事例です。

ひび割れの主な原因はコンクリートの乾燥収縮です。また気温差でもコンクリートは収縮する性質がありますのでひび割れの原因となってしまいます。今のところ雨漏り被害はないとのことですが、放っておけば建物内部へどんどん雨水が浸入し、雨漏りを引き起こす可能性があります。
通気緩衝工法でのウレタン防水工事をご提案いたしました。

洗浄
まずは下地を高圧洗浄にて汚れを落とします。

下地調整・ひび割れ補修
防水用下地材「ダブルテックスNEO」を使用し、ひび割れを補修しながら、下地の調整を行います。

プライマー（下地材）を塗布
プライマーと呼ばれる下地材を塗布します。これは通気緩衝シートとの密着をより良くするために行います。立ち上がり部にムラなく塗布していきます。プライマーを塗布したあと完全に乾燥するまで待ちます。

通気緩衝シートを全面に敷設
ここで通気緩衝シートを敷いていきます。継ぎ目は約1cm程度で、ジョイント用のテープを使い、すき間のないようにします。
横の立ち上がり部には通気緩衝シートを貼れないため、メッシュシートを使って補強を行います。

脱気筒を設置
脱気筒を設置します。
通気緩衝シートに丸く穴を開けて、シートの下に閉じ込められている空気を逃がすことができるように脱気筒を設置します。50平方メートルに1カ所程度が目安です。ポイントとしては出来るだけ水上に設置して水分が抜けるようにします。

ウレタン防水（1回目）
立ち上がり部からウレタン防水塗料を塗布していきます。株式会社ダイフレックスのDSカラー・ゼロを使用しました。シックハウス症候群の原因とされる物質を含まず安心して使える防水材です。立ち上がり部は液ダレしにくい仕様です。
　十分に乾燥させたら次の工程です。

ウレタン防水（2回目）
1回目と同様に塗り重ねます。2回塗りすることで厚みのある強い防水層となります。再び、十分に乾燥させます。

トップコート塗装
仕上げのトップコート塗料を塗装します。
防水層を紫外線から保護し、経年劣化を出来るだけ抑える役割を果たしてくれる塗料です。

完工
ピカピカのウレタン防水工事が完工しました。足場仮設含め7日間の工事でした。ひび割れの心配もなくなりご安心いただけました。

塗料の剥がれたベランダ床に通気緩衝工法

　工期　　3日間　　費用　　約20万円

ベランダ床の塗料が剥がれ亀裂もあるということでご相談いただきました。
建物から突き出し、小さな屋根しか取り付けられていないベランダで雨が直接打ち付ける状態でしたが、錆びたドレン周りも交換し、排水もスムーズになりました。

雨漏りを起こした屋上バルコニーを改修

　工期　　3日間　　費用　　約45万円

既存の防水劣化により雨漏りが発生していました。ウレタン防水の膨れや剥離した箇所などを丁寧に取り除き、樹脂モルタルで下地を調整。その上からウレタン防水通気緩衝工法で新たな防水層を作りました。

防水工事もご相談ください

陸屋根の屋上をお持ちの方、ベランダやバルコニーが家にある方は防水工事が必須です。
年数が経てば劣化し雨漏りを起こしてしまうこともあります。

雨漏り補修やメンテナンス、できれば費用をかけたくないという思いもあるかもしれません。しかし価格が安いからといって適切な施工をしなければ、表面が膨れてくるなどで防水工事をした意味が無くなってしまいます。
正しい工事内容の提案と適正価格を提示してくれる、経験と実績のある業者に依頼することをおすすめします。

アメピタでは、事前の調査と点検をしっかり行い、お客様のご自宅に適した工事方法をご提案いたします。
現在雨漏りでお困りの方、雨漏りが心配な方もまずはご相談ください。