2025年5月30日更新
Q.雨漏りはコーキングで直せる?A.コーキングはあくまで応急処置、雨漏りを止める補修ではありませんコーキング材にはいくつかの種類があり、使用する場所や目的に応じて適切なタイプを選ぶことが大切です。コーキングの補修はDIYではなく、なぜ業者に依頼するべきなのか?コーキングの特徴から雨漏りにつながる劣化、DIYによるリスクなど、雨漏り修理のプロが徹底解説します!
雨漏りが発生したとき、応急処置としてコーキング剤の使用を考える方は多いでしょう。コーキングは建材の隙間を埋めるために広く用いられる材料ですが、雨漏り修理において万能ではありません。「自分でみようみまねでコーキング補修してみたけれど雨漏りがすぐに再発してしまった」このようなご相談をよくいただきます。DIYで失敗する主な原因は、コーキングの特性を理解しないまま誤った材料で補修を行い、悪化してしまうケースです。施工後は原因も特定しにくくなるので、下地とコーキング材との相性、その後施工する内容も踏まえて補修を行っていく必要があるのです。
●シリコン系耐水性、耐熱性に優れ、洗面所やキッチン、浴室などの水回りや、ガラス周りに適しています。安価で手に入りやすい反面、塗料をはじいてしまうため、上から塗装する場所には不向きです。●変成シリコン系サッシ、タイル、モルタル、コンクリート、金属、屋根材など、幅広い場所に使用できる万能タイプで、塗装が可能で耐久性が高いのが特徴です。ただし、塗料の種類によっては変色(ブリード現象)が起こる可能性もあります。●ウレタン系モルタルやコンクリートのクラック補修、木材の隙間などに適しており、密着性と弾力性に優れています。塗装が可能ですが、紫外線に弱いため、屋外で使用する場合は基本的に塗装が前提となります。●アクリル系ALC外壁の目地やモルタル、コンクリートのひび割れに使用でき、湿った場所でも施工可能で塗装もできます。しかし、耐久性が低いため、リフォーム現場ではあまり使用されません。
それぞれのコーキング材には特徴があり、使用する場所の素材や環境、塗装の有無などを考慮して選ぶことが大切です。たとえば、浴室のような水まわりではシリコン系、外壁などの広範囲には変成シリコン系、クラック補修にはウレタン系など、目的に応じた選定が施工の仕上がりや耐久性を大きく左右します。建物のメンテナンスにおいて、コーキング材の役割は決して小さくありません。正しい種類を選び、適切に施工することで、雨水の侵入や構造の劣化を防ぎ、建物全体の寿命を延ばすことにつながります。
コーキング材での補修が行われる箇所、結果雨漏りが改善される可能性の高い施工内容をご紹介いたします。
近年、多くのお住まいで使用されているサイディング外壁やALC外壁は、工場でボード状に加工し現場で張り付けています。しかし、ボード同士を隙間なく張り付けることは出来ませんし、仮に出来たとしても建物の揺れ等によりボードが当たることで、外壁材にヒビや割れを生じさせてしまう可能性があります。 これらの外壁材は、あえて1㎝程度の隙間を開け、その目地と呼ばれる隙間にコーキング材を打設し雨水の浸入を防いでいます。新築時に使用されているコーキング材の耐用年数は決して長くなく、5年程度から硬くなり、ひび割れ・亀裂・肉痩せによって雨水が入り込んでしまいます。そのため、外壁から雨漏りを起こしている場合は、コーキング補修で改善されることもあります。
窯業系サイディングやALCは、吸水しやすく水分に晒されると腐食してしまうこともありますので、その場合は外壁材の張り替えが欠かせません。また、外壁材の劣化を防ぐ為にも目地補修と外壁塗装はセットで行っていきましょう。
継ぎ目がなく、自由な形状に仕上げる事も出来るモルタル外壁は、セメントと砂に水を混ぜ合わせていることから施工後にひび割れ(クラック)を起こしてしまうことがあります。これはモルタルの乾燥・収縮や塗り厚不良、作業の中断や部分補修などによる施工上の要因や、太陽光や雨水に晒されることによる経年劣化、地震等の環境的要因も挙げられることから、完全にクラックの発生を防ぐということは出来ません。通常、ヘアクラックと呼ばれる髪の毛程の細いクラックが発生し、徐々に構造クラックと呼ばれる大きなひび割れへと進行していくことが多いのですが、構造クラックは雨漏りを起こしてしまう可能性があります。
この場合、ひび割れをコーキング材で埋めることで改善されます。こちらもサイディングやALC外壁と同様、モルタルの腐食や剥がれを起こすことがあるため、必要に応じて塗り替えを行っていく必要があります。室内・外壁材に悪影響が及ばないよう、ヘアクラックの段階でクラック補修・外壁塗装の実施が理想的なメンテナンス方法といえます。
お住まいの高気密・高断熱化に伴い、サッシも木製から高耐久なアルミや樹脂製が使用されることが増え、塗装メンテナンス等も必要なくなりました。その為、サッシ周りへの注意が怠りつつありますが、サッシは頑丈とはいえサッシと外壁材の間を埋めているコーキング材はいずれ劣化してしまいます。サッシに限らず、霧除け・庇・換気扇などの設備と外壁材の間は、全てコーキング材で塞がれていますので、劣化してしまえば雨水が入り込み雨漏りを起こしてしまいます。必ず定期的なコーキング材での補修を行い隙間が出来ないように心がけましょう。
続いてはコーキング補修を行っても改善出来ない雨漏りの事例をご紹介します。お住まいの雨漏りを防いでいる根本的な構造を知っていれば、下記のような補修が行われることはありませんが、悪徳な施工業者やご自身でのコーキング補修によって起こる危険がありますので十分にご注意ください。
雨漏りを防いでいると思われがちな屋根材が割れてしまうと「雨漏りが起きてしまうのではないか?」と大きな不安を感じてしまいますよね。しかし実際は屋根材の割れが雨漏りの直接的な原因ではありません。というのも屋根からの雨漏りを防いでいるのは防水紙と呼ばれる下葺き材であって、屋根材は美観性の向上と防水紙の保護に過ぎません。つまり雨漏りを起こしてしまったとき、屋根材の割れをコーキング材や防水テープで補修しても意味がないということです。一般的に使用される防水紙の耐用年数は20〜25年程度ですので、雨漏りを起こしてしまう前に瓦の葺き直し・屋根カバー工法・葺き替え工事を行いましょう。
軽量で耐久性に優れた金属素材は以前から使用されていましたが、現在は更に錆びにくいガルバリウム鋼板がリフォームを中心に多く使用されています。劣化しにくい事から、頻繁なメンテナンスは必要ありませんが、表面皮膜に傷が付いたり経年劣化を起こすと錆によって腐食し穴あきを起こし雨漏りを生じます。一般住宅に使用される横葺き屋根材や、瓦棒の下地には防水紙がある為、いきなり雨漏りに発展するケースは少ないのですが、工場や倉庫に使用されている折板屋根は防水紙も野地板もないので雨漏りに直結してしまいます。錆で開いてしまった穴を、コーキング材や防水テープで塞ぐことで雨漏りを一時的に改善させるケースも存在します。しかし、一度錆が発生すると劣化は拡大してしまいますので応急措置に過ぎません。必ずその後防水塗料や屋根カバー工法、葺き替えで雨漏りを改善する為の工事を検討していきましょう。
ビルやマンション等、耐久性に優れた建物に多く見られますが、陸屋根やバルコニーに施工された防水層の劣化を防ぐ為に軽量コンクリートを打っていることがあります。押えコンクリートやシンダーコンとも呼ばれていますが、特徴としてはコンクリートの割れを防ぐ為の伸縮目地が等間隔にあり、他の防水工法よりも耐用年数が20年程度と長いです。押えコンクリートが施工されていると、防水層が見えないため雨漏りの原因が特定しにくいといったデメリットが存在しますが、多くは伸縮目地が傷んでいることから目地コーキング材の劣化が原因です。もちろん経年劣化によってコンクリートも傷むので、クラックが発生し雨水が染み込んでいる可能性もあります。伸縮目地の補修だけでは充分ではないのです。伸縮目地のコーキング補修はもちろんのこと、この場合は防水工事や排水ドレンの改修も行うべきでしょう。
コーキング補修は、なにも補修だけに使用されるわけではなく、その柔軟性・防水性を活かしメンテナンスにも使用されます。しかし、そのメンテナンス方法が雨漏りの原因になる可能性もあります。お住まいにとって良かれと思って行ったコーキング補修で何故?と思われるかもしれませんが、その原因のほとんどは「建物の構造を理解しておらず毛細管現象を起こしてしまった」ということです。これは、DIYでも同様です。
毛細管現象とは、細い管や繊維に水が吸い上がっていく現象です。これは、木が水を吸い上げて成長したり、万年筆のインクがペン先に上がったりするのと同じ減少です。しかし、家でこの現象が起きると、雨水が建物内部に染み込み、雨漏りの原因になります。そのため、家は雨漏りしないように工夫されていますが、間違ったコーキング補修で、かえって雨漏りを引き起こしてしまうことがあります。
屋根材に出来た大きな隙間、瓦のズレを改善しようとすることは悪い事ではありません。ですが、隙間を完全に塞ごうと施工したコーキング補修が、屋根内部で毛細管現象を起こす引き金になり、雨漏りを発生させる原因になってしまいます。瓦がずれないように行うコーキング補修は、「ラバーロック工法」と呼ばれますが、隙間を完全に塞ぐのではなく、雨水の流れを妨げないよう部分的な施工を行うという事が非常に重要なのです。 同様の理由で、薄いスレート屋根材の塗装後は、タスペーサーや皮スキでの縁切りが欠かせません。
外壁でも毛細管現象による雨漏りを起こす可能性があります。例えばサイディングと水切り板金の間には隙間があります。これはサイディングと下地の間に通気を行う空間があるので至って正常な状態なのですが、コーキング材や塗料で塞いでしまうと湿気や雨水が排出されず透湿防水シートに雨水が染み込むことで雨漏りを起こしてしまいます。施工不良や経年劣化で出来たと思われがちな隙間は、実は建物の安全を守る為に欠かせない隙間で、コーキング材で塞いでしまうとかえって雨漏りが起きてしまいます。これらの誤った施工による雨漏りは、知識が乏しい業者やご自身で行うコーキング補修が原因ですが、施工されてからすぐに雨漏りが生じるケースや、数年経過してから雨漏りが起きるケースもあり、原因が分からず頭を抱えることが少なくありません。必ずお住まいの構造を理解し、適切な補修方法を行う業者に工事を依頼するようにしましょう。
コーキング材を使った雨漏りの応急処置は、DIYとして自分で行うことも可能ですが、リスクも伴います。DIYのメリットとデメリットをご紹介します。
費用を安く抑えられる コーキング材や必要な道具(コーキングガン、ヘラ、マスキングテープ、プライマー、ハケ、手袋など)はホームセンターなどで手軽に入手でき、全部で3,000円程度で揃えることができます。部分的な補修であれば、材料費のみで済むため費用を抑えられます。
すぐに取りかかれる 雨漏りを発見した際に、業者を手配するよりも早く応急処置に取りかかれる場合があります。また、自分で修理を行うことで達成感を得られる方もいます。
仕上がりが綺麗にならない可能性 コーキング材を均一に充填し、ヘラで綺麗にならす作業には熟練が必要であり、経験がないと見た目が悪くなることがあります。
場所に適した種類を選ぶのが難しい コーキング剤には様々な種類があり、補修箇所の材質や用途に適さないものを選ぶと、十分な効果が得られなかったり、劣化が早まったりする可能性があります。
雨漏りが完全に止まるとは限らない DIYでのコーキングはあくまで応急処置であり、根本的な原因を解決できないため、一時的に止まったように見えても再発することが多いです。
かえって症状を悪化させる可能性がある 原因の特定が不正確だったり、不適切な場所にコーキングしたりすると、雨水の経路を変えて別の場所で雨漏りが発生したり、建物の内部を傷めたりする可能性があります。DIYで失敗すると、プロに依頼した際に余分な費用がかかる場合もあります。
雨漏りの原因は複雑な場合が多く、目視だけでは判断できない内部的な問題が潜んでいることもあります。そのため、雨漏りが発生した際は、原因の正確な特定や適切な修理のためにも、専門家であるプロに依頼することがもっとも安全です。
実際にコーキング材を使用した施工方法をご紹介します。適切なコーキング補修がされているのかをチェックするポイントも大事ですので、しっかり理解しておきましょう。
コーキングの密着性を高めるため、まずは下地の汚れや苔をしっかり取り除きます。塗装前であれば高圧洗浄で対応可能ですが、劣化が進んでいる場合は、先に清掃と補修を行い、雨漏りのリスクを抑えることもあります。部分的な補修では、ハケや水洗いで下地を整えてから施工に入ります。古いコーキング材は基本的にはすべて撤去し、新しい材に打ち替える方法が推奨されます。特にサッシまわりなど、撤去時に傷がつきやすい箇所を除き、耐久性に優れた打替え補修がおすすめです。
ただ隙間をコーキング材で埋めればよい、というものではありません。充分にコーキング材が接着していなければ、わずかに出来た隙間から雨水が浸入する可能性もあるからです。そこで、使用するコーキング材と相性の良いプライマーを施工箇所に塗ります。プライマーは糊のような役割を持ち、コーキング材の剥がれを防ぐ為に行うのですが、必ずプライマーを塗った日にコーキング材を打設しなければなりませんので注意しましょう。
コーキング材の仕上がりを美しく保つため、事前にマスキングテープでしっかり養生を行います。外壁がモルタルでリシン仕上げの場合は、ヘラで均すことで自然な仕上がりになりますが、サイディングのように目地が直線的な場合は、まっすぐ整えることで見た目の美しさが引き立ちます。なお、サイディング外壁は目地の数が多く、養生作業だけで丸一日かかることもあります。仕上がりを左右する大切な工程であり、丁寧に対応する必要があります。
施工箇所に合わせたコーキング材を使い、隙間を丁寧に充填しています。この時点ではまだ柔らかいため、ヘラなどで奥までしっかり押し込みながら成形します。ただし、触れると形が崩れるおそれがあるため、施工後しばらくは触れないようご注意ください。コーキング材には「被膜硬化」と「完全硬化」の2段階があり、表面が乾く被膜硬化を過ぎれば雨が降っても防水性が保たれるので、施工後数日は天候にも気を配っておくと安心です。完全に硬化するまでは数日かかるため、無理に触ったり押したりしないようにしましょう。
コーキング材打設後は、硬化し始めますのですぐにマスキングテープ等の養生は外していきます。硬化後に剥がしてしまうとコーキング材も一緒に剥がれてしまい、その隙間から雨水が入り込んでしまいますので、コーキング補修を行ったその日のうちに養生を剥がすよう時間配分も考えましょう。
DIYによるコーキング補修は、一時的な応急処置にはなるかもしれませんが、実は雨漏りをしっかり止めるのはプロでも慎重な判断と高度な技術が求められる難しい作業です。わたしたちアメピタは、雨漏りに特化したプロフェッショナルとしてこれまでに多くの複雑なケースにも対応してまいりました。見えにくい原因もしっかり突き止め、建物の状態に合わせた最適な方法で解決してきた実績があります。施工事例も豊富にございますので、「本当に止まるのかな」「どこに頼めばいいのか不安」といったお悩みも、どうぞ安心してご相談ください。ご自身での対応がかえって状況を悪化させ、余計な費用や手間がかかってしまうケースも少なくありません。だからこそ、私たちのような専門業者におまかせいただくことが、お客様への安心と確実な解決へつながるとお約束します。
まとめ
コーキング補修は、外壁や窓サッシ周りなどの軽微な劣化に対する応急処置として有効な場合があります
コーキングだけでは雨漏りの根本的な原因を解決することはできません
雨漏り修理で最も重要なのは、「原因を正確に特定すること」
原因が分からないままのDIYや、誤った箇所へのコーキングは状況を悪化させる恐れがあります
誤った補修は原因特定を困難にし、他の箇所で新たな雨漏りを招くことも
高所での作業や屋根でのDIYは非常に危険であり、絶対に避けてください
建物を長持ちさせ、安全かつ確実に雨漏りを修理するには、専門知識と技術を持つプロに相談するのが安心と解決の道です