「屋根の瓦が割れてしまった」
「台風で瓦が飛んでしまった」
瓦屋根の突然の被害、まず心配になるのは、雨漏りになってしまわないかな、ということではないでしょうか。長寿命で丈夫というイメージの瓦ですから、すぐにでも雨漏りが起こりそうで慌ててしまいますね。

しかし、実際には、雨漏りが起こる原因は瓦自体にあるのではなく、屋根下地の問題ということをご存知でしょうか。

今回は、瓦屋根が雨漏りになるメカニズムを詳しく分かりやすく解説していきます。もしかしたら雨漏りになってしまうかもしれないとご不安を感じている方のヒントになることがあるかと思います。
また、瓦の修理をしたいという思いの一方で、「どうやって修理するの？」「費用の目安が分からない」と一歩踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。概算となりますが、瓦の修理方法や費用目安についてもお伝えしていきます。

破損や飛散など瓦の問題でお困りの方は、ぜひご参考ください。

瓦が割れたら雨漏りになる？

台風や暴風には、いつもの風とは違う脅威を感じます。そんな中「瓦に何かがぶつかって割れてしまった」「風力で瓦がずれた・脱落した」などの被害に逢うと、とてつもなく不安になりますよね。特に心配なのは、雨漏りではないでしょうか。
しかし、瓦が「割れた・落ちた・ずれた」場合、それが必ずしもすぐに雨漏りにつながるとは限りません。危険ですから、強風の中、屋根に上って応急処置をしようとは考えないでくださいね。
ただし、なるべく早めに点検・修理をした方がいいことは確かなので、私たちアメピタにご相談ください。

では、瓦の雨漏りはなぜ起こるのか、まずは、瓦の葺き方や構造から、瓦屋根の雨漏りのメカニズムを見ていきましょう。

瓦屋根の構造とは？

私たちが普段目にしているのは瓦屋根の瓦部分のみですが、その下には下地や骨組みがあります。瓦屋根に限らず基本的な屋根の構造を見てみましょう。

屋根材（瓦）
もっとも表面にある屋根材（瓦）は雨や風の影響を直に受ける部分です。下地を守り雨を住まいに浸入させないための、一次防水の役割があります。

防水紙
屋根材（瓦）の下には、二次防水の役割を持つ防水紙が設置されています。ルーフィングと呼ぶこともあります。
この防水紙が、雨漏り防止の要となる大切な部分です。

昔の工法では、葺き土、杉皮などが防水紙のような役割をしていました。そのため、築年数が長い瓦屋根では現在使われているような防水紙ではなく、土や杉皮などが敷かれています。

野地板
垂木の上に張る板です。屋根を支え、屋根材を設置するために欠かせません。

垂木
棟木から軒先に向けて斜めに等間隔に取り付けられた木材で、屋根の土台になります。

瓦の葺き方の「昔」と「今」

瓦の葺き方は、昔と今では工法が異なり、下地の構造にも違いが見られます。

瓦と野地板の間に土を敷き、瓦が飛んだりずれたりしないように固定していました。築年数の長い瓦屋根なら土葺きの可能性が高いでしょう。

一方、現在の瓦屋根の葺き方で主流なのは「引っ掛け桟葺き工法」です。
固定のために土は使わず、防水紙の上から設置した桟木に瓦を引っ掛けて施工します。

雨漏りの本当の原因は下地の問題

瓦が破損すると雨がその下に浸入するため、雨漏りと直結して考えられがちです。でも前述のように、瓦の下には雨漏り防止の役割を持つ防水紙が敷かれています。

瓦が破損したりずれたりしても、二次防水の役割を持つ防水紙が正常に機能していれば雨漏りを防ぐことができます。（ただし、ずっと放っておいても良いというわけではありません。）

逆に、表面の瓦に問題がないように見えても防水紙が劣化している場合は、雨漏りの危険性があるということですね。

雨漏りの危険性があるケースとは？

瓦屋根の雨漏りについて、どういう場合に注意が必要なのでしょうか。

ケース1.瓦が割れた、ずれた、歪んだ、浮いている

瓦の内部に浸水する原因は、ひび割れやずれ、歪み、浮きなどですが、二次防水の役割を持つ防水紙が正常なら、すぐには雨漏りに発展しません。

しかし、築年数の長いお住まいは既に下葺きである防水紙や土・杉皮などが傷んでいるケースも多く、瓦があるお陰でかろうじて雨漏りにはなっていなかったということもあり、この場合は瓦が落ちることでたちまち雨漏りに繋がってしまいます。

また、瓦に隙間ができることから、防水紙への雨風や紫外線の影響が強くなります。これまでは瓦に守られていた部分がむき出しとなって劣化しやすい状態です。次第に防水紙が破れ、野地板へも水分が染み込むと雨漏りとなってしまいます。瓦の割れ、ずれ、浮き等がある場合は下地の状態を点検してもらいましょう。

ケース2.防水紙が寿命を迎えつつある

防水紙の種類にもよりますが、その耐用年数は15～20年ほどと瓦よりもずっと短いです。
ふだんは瓦屋根の下にかくれて直接的に雨風の影響を受けづらいものの、夏の暑さや冬の寒さなど気温の変化で変質してきます。撥水効果も少しずつ衰え破れたり穴が開いたりすることもあります。
土葺きの場合も、内部の土がだんだんとやせて来ると防水機能が落ちてきます。

そうすると、見た目では分からないくらいの瓦のちょっとした問題から一気に雨漏りに発展することがあります。築年数が長い瓦屋根はリフォームも視野に入れ点検しましょう。

ケース3.漆喰が剥がれた

漆喰とは、屋根頂部にある棟と下の瓦の隙間を埋めるように詰められているものです。瓦の寿命は長いですが、漆喰は約10～15年程もすれば紫外線や雨風などの影響を受けてもろくなり、ひび割れや剥がれが起こります。雨が棟から浸入しやすい状態になり、雨漏りを起こすリスクが高まります。

ケース4.谷板金に問題がある

瓦屋根の形状によりますが、屋根面同士の結合部に谷板金という箇所があります。谷板金の役割は、屋根に降った雨をいったん集め、雨樋まで流すことです。

浸水を防ぐために板金が取り付けられていますが、雨漏りに注意したい箇所です。谷板金部分は、屋根面から伝った雨水が集中するため、経年によって錆びて穴があくこともあります。
谷板金の劣化や傷みは、「谷板金に穴⇒雨の浸入⇒防水紙が劣化⇒内部へと雨が浸入」という流れを作ります。

瓦屋根の修理方法と費用の目安

お伝えしてきたように「瓦が割れた・飛んだ」などの被害があっても防水紙が機能していれば雨漏りは起こりません。しかし、放置すると防水紙や下地へのダメージが拡がるので「数枚程度の屋根補修は依頼しづらい」「少し様子を見てもいいかな…」という自己判断はやめましょう。
アメピタは「瓦の修理のみ」でも承っています。お客様のご自宅の状態を丁寧に点検し、ご不安な点を確認したうえで最適なご提案をいたします。大切なお住まいが雨漏り被害を受ける前に、ぜひアメピタにご相談ください。

でも、「どんな方法で修理するの？」「費用はいくらかかるの？」と詳細が分からないと不安ですよね。主な瓦屋根修理の内容と費用の目安をご紹介していきますので、ぜひご参考ください。

ずれ補修、瓦の並び戻し工事　

費用目安	15,000円～（㎡単価・税抜）

瓦本体に「割れ・欠け」などが見られない場合は、ずれている部分を元の位置に戻すことが可能です。

瓦屋根は、ずれたままで放置してしまうと、雨の浸入を許してしまうだけでなく、次第に周辺の瓦を巻き込んでずれが広がる可能性があります。小範囲のうちに修理をすることで、費用も少なくて済むでしょう。
数枚程度のずれであれば、作業時間もかかりません。修理範囲にもよりますが、並び戻し工事は、15,000円（㎡単価）ほど、だいたい数万円程度と考えておくとといでしょう。

ただ、ずれが起こっている下部分の防水紙が劣化していれば、雨漏りにつながる可能性があります。その場合、防水紙の交換も視野に入れた修理が必要です。

＜修理事例＞

・強風でめくれた瓦を並べ直し、固定して強度もアップしました

袖に近い部分の瓦が数枚ずれています。外れて下に落ちると割れてしまいますし危険ですのでずれだけで済んだのは幸いでした。ひと昔前の施工方法では、平瓦は瓦棒に引っ掛けているだけのことが多く、一枚ずれるとそこから瓦の下に風が入り込んで、周りの瓦まで次々と飛ばされてしまいます。

ひび割れ・欠けの補修、瓦の差し替え工事

費用目安	30,000円～（税抜）

瓦のひび割れや欠けは、風による飛来物、凍害などの原因で起こることがあります。

それほどひどくない軽微なひび割れならコーキング等で補修が可能ですが、補修部分もいずれ劣化することを考えると、今後の耐久性や安心感を見越して、新しい瓦に交換するのが安心です。（交換した部分とそれ以外で色味や風合いの差が出ることがあります。）
瓦の差し替え工事をする場合、材料費が300円～（1枚あたり）、補修費用が30,000円（㎡単価）を目安にしてみてください。

＜修理事例＞

・瓦が割れて雨が降ったら心配…差し替え工事でご安心いただきました

強風で何から当たったのか、瓦の一部が粉々です。

漆喰詰め直し工事

費用目安	4,000～6,000円前後（㎡単価・税抜）

漆喰には、棟部分から雨の浸入を防ぐ役割があります。剥がれが起こることで棟瓦のずれ・曲がり、雨水の浸入につながります。

雨漏りが起こる前に早めに補修が必要です。古い漆喰の上から新しい漆喰を重ねても丸ごと剥離する恐れがあるので、既存の漆喰を取り除き、新しい漆喰を詰める「詰め直し」での補修となります。

＜修理事例＞

・築35年、屋根から落ちてくる白いものの正体は漆喰でした

瓦屋根から白いものが剥がれ落ちている、ご自身では屋根の様子がよく見えないからとご相談をいただきました。屋根に上らせていただき確認すると、多くの漆喰がひび割れ剥がれ落ちています。剥がれた箇所から水の浸入を許してしまうので、漆喰の詰め直しをいたします。

谷板金工事

費用目安	20,000円～（税抜）

劣化した谷板金を新しいものへ交換します。
谷板金は瓦の下に設置されているので、周りの瓦を一時撤去し、新しい板金を設置後、元通りに戻します。
板金は錆に強いガルバリウム鋼板、もしくはステンレス製のものがよく使われます。

火災保険もご活用ください

台風や強風で屋根に被害があったとき、火災保険で負担軽減が可能かもしれません。火災保険は、火災以外でも風災や雪害にも使える場合があります。

雨漏りの危険あり！屋根改修の方法

瓦の部分的な補修なら、数万円から修理ができます。
ただ、軽度な補修ができるのは、瓦屋根本体のダメージが少ないことはもちろん、「下地に問題がない」というケースです。
すでに雨漏りが起こっている、屋根の老朽化がひどく「雨漏りがいつ起こってもおかしくない」という場合は、防水紙の交換をともなった大がかりな屋根改修が必要となります。

ここでは、「雨漏りが起こっている」「雨漏りする可能性大」という場合にはどんな補修・改修が必要なのかご説明していきます。

屋根葺き直し

葺き直しは、既存の瓦をいったん撤去し防水紙を交換、瓦桟なども全て新しくして、瓦を再び元通りにしていく工法です。（セメント瓦など廃盤品の場合は対応できないケースもあります）。
瓦のずれや欠けが広範囲にわたっていれば、寿命の時期でなくても防水紙が傷んでいる可能性も高いです。近々やって来るかもしれない雨漏り被害に備えて、防水紙を交換しておくと安心でしょう。これを機会に長寿命のものに交換するのもおすすめです。

住まいの雨漏りを防ぐには、屋根材の健康だけでなく、防水紙の性能も重要です。昔のものでは耐用年数15～20年という防水紙が多かったですが、近年は50年を超える性能を誇るものもあります。

屋根葺き替え

葺き替えは、既存の瓦屋根を撤去し、新しい屋根材に交換する方法です。
屋根材と下地を新しくするため費用は高くなりますが、美観や安心感を手に入れられます。

また、葺き替えの場合、瓦以外の新しい屋根材に替えることもできます。もちろん、これまでと同様に瓦を選んでもいいですし、スレート屋根や金属屋根などまったく異なる素材を選ぶこともできます。
最近では、重量の軽い金属屋根が注目されています。屋根が軽くなることで家の重心が下がり、地震の揺れが小さくできるということで、耐震性の面からおすすめしています。

棟取り直し

漆喰の剥がれがひどい場合、既に棟瓦のずれや崩れが起こっている場合は棟取り直しの工事になります。棟の瓦を全て撤去し、改めて棟瓦を造り直す工事です。
棟瓦を固定する心材は、昔は木材が主流でしたが、現在は腐食しない樹脂製のものも使われるようになっています。

瓦に気になることがあったら早めの相談を

瓦は長寿命で長く雨漏りが起こらないとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、台風や風で瓦屋根が飛んだ・剥がれたとなると心配ですよね。

瓦のみの問題ならすぐに雨漏りには直結しませんが、雨や紫外線が少しずつ防水紙へダメージを与え続ける状況です。
「瓦の割れ・欠け」が直接的な雨漏り要因にならなくても、それがきっかけとなってリスクを増大させていることは多いのです。ほんのわずかに思える問題でも、実際は大きなダメージの前触れでもあります。早いうちの点検と修理がベストです。

アメピタでは、お客様の気になる点を解決するために、まずは無料点検を行っております。瓦に関するちょっとした補修から葺き替えなどのリフォームまで承っておりますので、現状を確認したうえで、今後のメンテナンスを含め最善な補修・リフォームをご提案します。
雨漏りを未然に防ぐ点検・修理もアメピタへお気軽にお問い合わせください。