雨漏りが続いているのでなんとかしたい。
屋根葺き替えをすすめられたり、屋根カバー工法の提案を受けたり、部分補修で大丈夫という業者もあって何を信用していいのか、どれが本当なのか分からない。

こんな状況に陥っていませんか？

繰り返す屋根からの雨漏りや長年の雨漏りは、部分的な補修は応急処置としての効果しかないことがほとんどといっても良いでしょう。そうなれば、根本解決には葺き替えかカバー工法のどちらかが有効です。

それでは、どちらが自分の家には合っているのだろうということになりますよね。こちらの記事では、どちらにするのが良いのかを決めるための判断基準を解説していきます。
一つずつチェックすれば、どちらが適しているのかが見えてくるので参考にしてください。

雨漏り修理で屋根リフォームは必要か？

屋根葺き替えや屋根カバー工法といえば費用も掛かる大掛かりな工事です。
「雨漏り修理のために、本当にそんな大きな工事をしないとダメ？」そう不安になる方もいらっしゃいます。
ご予算などに応じて部分的な工事をご案内することもありますが、特に築年数の長い建物では全面的な工事で根本解決をすることが望ましいのです。

雨漏りの本当の原因

屋根を雨漏りから守っているものは何でしょうか？
「瓦やスレートなどの屋根材」…たしかに間違いではありませんが、実はそれよりも大切なのが「防水紙（ルーフィング）」なのです。

極論ですが、屋根材がいくら傷んで破損していても、屋根材のすぐ下の防水紙が傷んでいなければ雨漏りはしません。

しかし、築年数の経過した屋根は防水紙が耐用年数を迎え全体的に劣化しています。
雨漏りの原因は屋根材そのものの劣化ではなく、下地に使用されている防水紙（ルーフィング）の劣化が原因なのです。

経年で防水紙に不具合が生じ、それが雨漏りにつながったのなら、部分修理では不安が残ります。今回雨漏りになった他の部分も当然劣化している可能性があるからです。

また、防水紙に問題があって雨漏りになった時、防水紙の下の野地板にも被害が及びます。気が付かないうちに野地板が腐食してきているかもしれません。そうなれば釘で屋根材をしっかり固定できなくなり、強い風に耐えられなくなってしまうなどの影響がありますから、下地を補強したり交換したりの工事が必要になります。
築年数が何十年と経っている建物に関しては、防水紙の耐用年数をまずは調べる必要があります。

下地の野地板や防水紙があとどれくらい持つのかを確認すれば、部分補修では追いつかないことが明確になるでしょう。
葺き替えかカバー工法の屋根リフォームを検討しなくてはいけないタイミングに来ているかもしれません。その場合、屋根の部分補修ではなく全面リフォームが必要というわけです。

ただ、アメピタでもむやみに大規模工事を進めるわけではございません。
「なるべく費用は抑えたい…」
「もう長くは住まないから部分的な処置で良いのだけれど」
そういったご希望もお伺いし、雨漏り修理の方法をご提案いたします。
まずは、信用できる屋根の専門業者に再度点検してもらい、詳しく説明してもらうことが大切です。

屋根葺き替え？屋根カバー？判断基準は

それでは、具体的に屋根を葺き替えた方が良いのか、カバー工法が適しているのかの判断基準を解説していきましょう。

屋根葺き替えが良いケース	・瓦屋根（粘土瓦、セメント・コンクリート瓦） ・野地板が傷んでいる ・太陽光パネルが設置されている、設置の予定がある
屋根カバー工法が良いケース	・スレート、金属、アスファルトシングル ・野地板が健全 ・アスベスト含有屋根材である

屋根材の種類によって変わる

屋根葺き替えか屋根カバー工法か、まずは屋根材の種類によって変わります。
屋根材の種類によって葺き替えのみ施工可能な屋根材もあれば、葺き替えとカバー工法のどちらでも施工ができる屋根材もあります。

葺き替えしかできない屋根材

瓦（粘土瓦、セメント・コンクリート瓦など）の屋根材は葺き替えしか選べません。つまり屋根カバーでの修理は出来ないということです。
瓦は凹凸があるため、上から覆い被せるカバー工法には適していません。

粘土瓦の耐用年数は40〜50年以上ともいわれ、瓦に異常が無いのに屋根から雨漏りが発生するなら防水紙などの下地に問題がある可能性が高いです。防水紙の平均寿命は15年〜20年（近年はもっと長いものも販売されています）、野地板も30年程度といわれています。
築年数の長い瓦屋根の雨漏りなら、屋根葺き替えが安心です。

瓦屋根の土葺きとは、瓦の下地に土を敷き詰める施工方法です。日本では古く一般的に使われ現在でも築年数30〜40年以上の住宅で見られることがあります。
土やその下の杉皮などが防水紙の役割をしていたり、あまり性能のよくない古いタイプの防水紙が敷かれていたりしますが、だんだんと土が痩せ、じわじわと雨水が染み込み、瓦をはがしてみたら野地板まで雨染みだらけ、というケースも少なくありません。
現在土葺きの屋根なら、雨漏り修理をきっかけに葺き替えをぜひおすすめします。土が無くなることで屋根が軽くなり耐震対策にもなるんです。

カバー工法が可能な屋根材

前述の瓦外の、スレート、金属、アスファルトシングル屋根であれば屋根カバー工法の選択肢もあります。屋根面がほぼ平らなので、上から新しい屋根材をかぶせて施工することが可能なのです。（棟板金や雪止めなどは撤去します。）
しかしスレート、金属、アスファルトシングルだからといって必ずしもカバー工法が良いわけではありません。次の項目を確認してみましょう。

野地板は劣化していないか？

葺き替えかカバー工法かの判断は野地板の劣化具合にもよります。屋根カバー工法は今ある屋根を残して上からかぶせますから、ある程度現在の屋根が丈夫である必要があり、野地板はその判断基準のひとつです。
野地板の耐用年数はおよそ30年なので、築年数が30年に近ければ野地板から交換する葺き替えを選択するべきですし、まだ築15〜20年程度であればカバー工法も選択肢に入るでしょう。
雨漏りで明らかに野地板が腐食してしまっている場合、補強（増し張り）や交換をした方が良いので葺き替えをおすすめします。野地板の劣化具合は、屋根裏から確認したり、屋根に上った時の足元の感覚で判断します。

太陽光パネルが付いているか、付ける予定はあるか？

現状の屋根に太陽光発電のパネルが設置されている場合や、今後設置する予定のある人は基本的に葺き替えをおすすめします。
今まで太陽光パネルを設置していたなら、それだけの重量を支えてきたダメージもありますし、カバー工法で施工しても野地板がいつまで維持できるか分かりません。また、今後太陽光パネルを設置しようとお考えの場合にも、カバー工法で古いままの野地板を使用するのは様々なリスクを抱えてしまいます。もし、野地板に傷みが発生していたら重量がかかっている部分の野地板が持ちこたえられないこともあるでしょう。そのため太陽光パネルの設置を断られることもありますので事前に確認してください。

屋根に不具合が起こって工事をする場合に、もし太陽光パネルの脱着が必要になったらその分費用も掛かりますから、できるだけ長持ちする屋根にしておくのが安心です。

アスベスト使用屋根材かどうか？

スレート屋根は2004年までに製造された製品にアスベストが含まれています。その場合は、葺き替えになるとアスベストを処理する人件費と処分費用がかかり、スレート屋根材の撤去費用が高額になる可能性があるのです。
そのため処理費用を抑えるために、アスベスト含有屋根材は出来る限り壊さず、カバー工法で新しい屋根材に交換する方法が取られることが多くあります。
しかし、アスベストの入った屋根材は撤去されず存在するわけなので、根本的な解決にはならずその家を継承していく人の責任になってしまうことは忘れてはいけません。
この先もっと高額な処分費用になる可能性もあるので判断は慎重に行った方が良いでしょう。

屋根葺き替えと屋根カバー工法の違い

屋根葺き替えと屋根カバー工法、改めてそれぞれ工事の方法やメリットなどを確認していきましょう。

屋根葺き替え

工事内容

屋根の葺き替えとは、屋根材の種類を問わず、下地である野地板・防水紙の補修・取り替えを行なってから新しい屋根材を葺くことをいいます。
既存の屋根材、防水紙は新しいものに、野地板は交換か補強をするので最も安心できる方法です。

屋根葺き替えなら！おすすめの屋根材

屋根を新しく葺き替えるのであれば、やはり耐震性を考えて軽量な屋根材がおすすめです。
地震大国の日本ですから、万が一の時でも安心して暮らせる環境を確保したいですよね。
スレートでも瓦よりは軽くなりますが、現在人気の高いガルバリウム鋼板の金属屋根材は圧倒的に軽量で耐用年数も長いのでおすすめです。
瓦にこだわりたい方は、見た目が瓦のような金属屋根材や、比較的軽量な瓦もありますのでご相談ください。同じ瓦でも防災瓦なら、屋根に1枚1枚打ち付け、瓦同士もかみ合わせる構造になっているので、飛散や落下を防げます。

屋根葺き替えでの雨漏り修理例

築40年セメント瓦屋根の雨漏りを葺き替えで解消！

老朽化で雨漏りに悩まされていることでご相談をいただいた屋根です。今後の地震・台風への対策もかねて、高耐久で軽量のガルバリウム鋼板屋根材「横暖ルーフ」への葺き替えをご提案いたしました。

瓦と土を撤去すると、防水紙がところどころ破れ、その下の野地板も色が変わっています。野地板はバラ板と呼ばれる、細長い板を張ったものでしたが、そのままでは耐久性に不安がのこるため、新しい野地板を増し張りしました。

屋根全体としては1/4～1/5程の重さになったはずです。もちろん悩まされていた雨漏りも解消しご安心いただけました。

屋根カバー工法

工事内容

カバー工法とは、既存の屋根の上から新しい防水紙を貼り付けて、新しい屋根材を葺いていく工法です。場合によっては新たな野地板から設置することもあります。

屋根カバー工法なら！おすすめの屋根材

カバー工法でおすすめの屋根材は、圧倒的にガルバリウム鋼板の金属屋根材です。軽量なのはもちろんですが、耐久性も高く長持ちします。
また、アスファルトシングルの屋根材も軽量でおすすめです。どのような屋根形状でも柔軟に対応できる屋根材なので、使い勝手の良い屋根材として存在感があります。

屋根カバー工法での雨漏り修理例

腐食した下地を一部補修してのカバー工法

築35年のスレート（カラーベスト）屋根です。やや緩勾配で雨が溜まりやすいのでしょう。スレートそのものもだいぶ傷んでいるようです。

雨漏りがひどいとのことで、一部野地板が腐食しているようです。屋根がそこだけへこんでいるのが分かりました。屋根が抜けてしまうかもしれない危険な状況です。

全体としては屋根カバーをご案内いたしましたが、野地板が腐食した部分だけは屋根材をはがし新しく野地板を貼りました。さらにその上から新しい防水紙、金属屋根を設置しました。染みだらけだった屋根が輝くように生まれ変わりました。

火災保険を使用しての雨漏り修理はできる？

経年劣化での雨漏りは対象外

屋根の修理によく利用される火災保険ですが、台風などの被害にあって屋根材が飛ばされたり破損した場合、修理費用を賄える可能性が高いです。
しかし、雨漏りの原因が経年劣化と判断されれば保険適用外ということになります。
「火災保険を使って工事をしましょう」というセールストークで屋根リフォームの契約を集めようとする業者もいますが、雨漏りの原因は何なのかを明確にしないと保険金はおりません。
経年劣化での雨漏りは保険適用が認められないケースが多いので、火災保険の話題から契約を迫ってくる業者には注意が必要です。

ご紹介してきたように、特に築年数の長いお住まいでの雨漏りには屋根の大規模リフォームが有効です。
大きな工事に抵抗のある方、なるべく低予算で済ませたいとご希望の方もいらっしゃるかと思います。どんな工事にするかは、現状と、この先何年持たせる修理にするか、などでも変わってきます。

雨漏りでなくても、屋根が古いからそろそろメンテナンスをお考えの場合や、雨漏りが起こらないための対策をしたい場合にもご相談を承ります。