瓦屋根の雨漏り修理、また雨漏り予防のメンテナンスとして
「屋根葺き直し(ふきなおし)工事」をご案内いたします。
瓦はとても丈夫な屋根材で、特に和瓦(釉薬瓦)なら50年以上の寿命があると言われます。
しかし瓦屋根を施工するために使われる、野地板、防水紙、漆喰などは瓦よりも耐用年数が短い部材です。瓦に問題がないからと言ってお手入れをせずに放置していると、防水紙や野地板が先に傷んで雨漏りを引き起こしてしまいます。
雨漏りを起こしてしまった瓦屋根の修理をお考えの方、瓦屋根のメンテナンスをしたことが無くてご心配な方、その中でも特に
●現在の瓦をこれからも活かしたいという方に
屋根葺き直し工事はおすすめです。
このページでは、
屋根葺き直しのメリットや特徴、また屋根リフォームのひとつの方法である「屋根葺き替え」との違いなどをご紹介しています。
【動画で確認「瓦屋根の葺き直し」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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【動画で確認「瓦屋根の葺き直し」】
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瓦は、重厚感と独特の風合いで長く愛される屋根材です。新築の際にこだわって選ばれたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなご自宅の屋根の瓦、いつから使用されているものでしょうか?
20年、30年、50年以上というお住まいもあると思います。
粘土を焼成して作られる和瓦はとても丈夫です。陶器の食器が錆びたり変形したりすることはないですよね?それと同様に、割れたり欠けたりしなければ半永久的に使用でき、耐用年数は50年以上とも言われます。
丈夫で長持ちの瓦は、雨風や太陽光に晒され続ける過酷な環境の中で家と生活を守ってくれているのです。
しかしそんな瓦屋根でも雨漏りを起こします。それはなぜでしょうか。
瓦が風で飛んでしまったから?
瓦が割れてしまったから?
確かにこのような理由が結果として屋根の劣化を招きますが、雨漏りの直接の理由ではないのです。
普段見ることはありませんが、瓦の下には、「防水紙(ルーフィング)」「野地板」が設置されています。
防水紙はその名の通り、水を防ぐためのもので、もし瓦の下に雨が流れ込んだとしても、屋根の内部に水が浸入するのを防いでくれています。
この防水紙が雨漏りと密接な関係にあり、たとえ瓦が割れていたとしても防水紙に不具合が無ければ雨漏りは防げますし、逆に瓦に問題がないように見えても防水紙が破れてしまえば雨水が野地板へ到達し、やがて雨漏りとなってしまいます。
野地板は、屋根を支える土台となっている木の板です。雨漏りが長く続けば腐食し、屋根全体の耐久性にも影響します。
瓦屋根を長持ちさせるためには、
瓦はもちろんその下地にも注意を配る必要があるのです。
瓦の下にあり、雨漏りの直接の原因となってしまう防水紙や、屋根のベースである野地板をメンテナンスできるのが
「屋根葺き直し」です。
今ある瓦を一度撤去し、下地を補修・補強後、瓦を戻す工事です。
「和瓦の耐用年数は長い」と前述しましたが、実は、防水紙や野地板は和瓦ほど長くはもちません。
現在和瓦を使用している屋根というと、築30年以上経っていることがほとんどでしょう。
今販売されている防水紙でも耐用年数は20~30年ですが、以前の防水紙は今よりも耐久性が低いものでした。瓦を剥がしてみたら防水紙が擦り切れていた、めくれて破れていた、ということも珍しくはありません。
防水紙が普及していなかったときには、敷き詰められた杉などの皮や薄い板がその役割をしていました。
また野地板についても、現在のような合板ではなく、通気性重視のため細い板をすのこ状に並べたバラ板でした。先人の知恵ですが、長い年月とともに痩せて脆くなってしまい、雨漏りを招きます。補強や張替えの必要が出てくるのです。
瓦屋根で雨漏りが起こってしまった、築年数が長いので雨漏りが心配、という場合には、屋根葺き直し工事をご検討ください。
また、ダメージの規模によっては屋根の
一部分だけを葺き直しで修繕することもあります。
屋根材の下に敷設されています。瓦の隙間などから雨が入り込んでもすぐに雨漏りにならないのはこの
防水紙があるからです。しかし経年劣化で破れて穴が空いてしまうことがあります。
改修の際におすすめなのは20年以上の耐用年数を持つ改質アスファルトルーフィング(改質ゴムアスファルトルーフィング)です。
垂木は屋根の骨組みの一部で、そこに取り付けられている木の板が
野地板です。
屋根全体を支える役割をしています。野地板が腐食していると屋根に上がってみた時に足元がふかふかとした感触がします。必要に応じて合板を張り全体を補強、またはダメージを受けている部分だけ交換します。
雨漏りのダメージが大きい場合は垂木を補強・交換することもあります。
瓦を引っ掛けるため水平方向に一定の間隔で取り付けられているのが
桟木(瓦桟)です。その桟木を浮かせることで雨が溜まるのを防ぐ
木ずりが設置されていることもあります。どちらも木製で脆くなってしまいますので、撤去し新しいものに交換します。
漆喰は棟にできる隙間などを埋めるために使われています。しかし10〜20年ほどで劣化しひび割れや剥離が起こり、放っておけば雨漏りや棟瓦の倒壊に繋がってしまいます。
また棟に使われる瓦を括ったり連結させたりするために
銅線が使われることがありますが、やはり経年で緩み、そのうち切れてしまいます。
瓦を葺き直す際にはもちろん棟瓦も施工しなおしますので、漆喰や銅線も一新できます。
屋根の形状によって谷がある場合、
流れ込んだ雨を受け止めるための板金が設置されています。経年劣化で錆びて穴が空いたり歪んで隙間が生じたりしていればそこから雨が浸入してしまいます。瓦を撤去する屋根葺き直しなら谷板金の交換が出来ます。
屋根の全面リフォームとして「屋根葺き替え」があります。
これは「現在の屋根材を撤去して新しい屋根材で葺き替える」工事のことです。
対して、屋根葺き直しは「現在の屋根材を再び利用する」という点で大きく違います。
新しい屋根材を用意しなくて良いのでその分材料費は掛かりませんし、瓦の再利用で廃材も少なく済めば地球にやさしいリフォームと言えますよね。
ところが屋根葺き直しの場合、再利用する瓦を破損させないよう撤去作業を丁寧に行う必要があるため、工期で比べると屋根葺き替えよりも長く掛かり、その分費用が高くなってしまうこともあります。
屋根葺き替え …新しい屋根材に変える | 新しい屋根材と廃材の分費用がかかる | 工期は2~8日 |
屋根葺き直し …屋根材をそのまま使用 | 撤去作業に人件費がかかる | 工期は3~10日 |
屋根葺き直しの最大の利点は、
屋根の見た目を変えることなくメンテナンスができる
ということです。
和風住宅で瓦にはこだわりがあり、できることなら現在の瓦を使い続けたい方もいらっしゃるでしょう。特に、いぶし瓦のように経年で色が変化する瓦で独特の風情を楽しんでいるという方ならそれは大きなメリットになるかもしれません。
急な雨漏りでリフォームとなっても、家の外観を変えずに済むなら安心という方もいらっしゃるかもしれませんね。雨漏り被害のある屋根を部分的に修理したいという場合には特に有効です。
さらに、元々重い土葺きの瓦屋根だった場合は、土を撤去して葺き直すことで屋根を軽くすることができる、というメリットもあります。屋根が軽くなれば家の構造にかかる負担が小さくなりますから、見た目を変えずに屋根補修ができ、さらに家の耐震性もアップできるというわけです。
屋根葺き直し工事は、屋根材をそのまま再利用するリフォーム工事です。そのため和瓦のように、ある程度の強度と耐久性があり、そのままの形で屋根から着脱できる屋根材でなければ葺き直しを行うことは出来ません。
釉薬瓦、いぶし瓦、素焼き瓦等の和瓦はそのまま屋根から取り外すことができますので、屋根葺き直し工事が可能です。耐用年数が長いので、再利用も問題ありません。万一割れたり欠けたりして使用できない瓦があっても、サイズや形が規格で決められているので代わりのものを用意して差し替えることも可能です。
セメントやコンクリートを成型して作られた瓦です。和瓦と同様に取り外しが可能なので屋根葺き直し工事が出来ます。
しかし和瓦に比べると耐用年数が短いので、状態によってはおすすめできません。脆くなった瓦は撤去の際に破損してしまう可能性もあります。セメント瓦やモニエル瓦は生産終了になっている商品が多く、部分的な破損があっても差し替えが難しい場合があるのです。
また、セメント瓦やモニエル瓦を長持ちさせるには塗装メンテナンスが必須ですが、そこまで費用を掛けるのなら屋根葺き替えの方が良いかもしれません。
天然の岩石で作られた屋根材で耐久性が高いため葺き直し工事が可能です。しかし比較的高価で施工にも高い技術を必要とするため日本での普及率は高くありません。しっかりと施工できる業者にお願いしましょう。
●化粧スレート(コロニアル・カラーベスト)
●金属屋根
●アスファルトシングル
近年多く普及している化粧スレートや金属製の屋根材、アスファルトシングルは屋根葺き直し工事が出来ません。化粧スレートや金属屋根材は釘で屋根に止められているので取り外す際にはほとんどが破損したり変形したりしてしまいます。接着剤が使われているアスファルトシングルも同様です。
また、屋根材自体の耐用年数が20~30年で防水紙などの下地とほぼ同じなため、下地だけ補修する屋根葺き直し工事ではあまり意味がありません。
実際の屋根葺き直し工事の様子とともに工事の手順をご紹介いたします。
5年前に雨漏り修理をしたけれど、その後も度々雨漏りがあるという瓦屋根です。
雨漏りは原因特定が難しく誤った場所を修理してしまったり、別の場所にも原因があったりということがあります。
瓦をめくってみると下葺きの杉皮に穴が空いている箇所があります。
雨漏りが発生している周辺の屋根を葺き直しで修理いたします。
まずは現在の瓦を屋根から取り外していきます。再利用するため、破損させないよう慎重に作業するとともに、割れて使えない瓦などがないかもチェックしていきます。
割れてしまった瓦は新しいものに差し替えることになります。
瓦を外すと古い桟木(瓦を引っ掛けるための木材)と杉皮が現れました。これらを撤去し清掃します。僅かに残った土や溜まったゴミも取り除きます。
野地板はバラ板で所々に隙間が空いています。
新しい野地板を上から取り付け補強し、さらにその上から防水紙を敷いていきます。これで雨が流れてきても雨漏りになることはありませんね。
防水紙を敷設した後は、瓦を引っ掛けるための桟木を取り付けます。
桟木を腐食させないための工夫水平方向に取り付られる桟木に雨が溜まって腐食することの無いよう、
●木ずり(木材や樹脂テープ等)を設置して桟木を浮かせる●水抜き穴のある桟木を使う●腐食しない樹脂製の桟木を使うなどさまざまな工夫がされることもあります。
特に木ずり設置の手間が省ければ工期短縮にも繋がりますね。
瓦を全て並べ直し完工です。同じ瓦を使用していますので、部分的な補修でしたが見た目ではその差が分からないように補修することができました。
屋根葺き替えで新しい屋根材にすれば、見た目が一新されるだけでなく防災の観点から見ても利点のあるリフォームができます。
葺き土に固定されただけの瓦や、桟木に引っ掛けられただけの瓦は、たびたび地震や台風により落下や飛散などの被害に遭ってきました。
2022年には新築住宅において全ての瓦を固定することが義務化される方針となっていますが、既存住宅、つまりリフォームの場合はその限りではありません。
「風で瓦が数枚落ちてしまったことがある」「ニュースで台風被害の映像を見ると不安になる」という方には、
防災瓦がおすすめです。
防災瓦とは、全ての瓦をビスで下地に固定できるようになっており、さらに瓦同士をロック構造にて連結させることで地震や風に強い瓦となっています。重量も、従来の瓦より1割~5割(製品による)軽くなっているので建物の耐震性能を上げることもできます。
屋根葺き替えでよく選ばれるのは金属屋根です。
なぜなら
金属屋根は主要な屋根材の中で最も軽量だからです。
屋根が軽くなれば建物の重心が下がり、
地震の際の揺れが軽減できます。屋根を支える躯体への影響も小さくすることができます。
近年ではデザイン性が高いもの、断熱材一体型で高機能のものなど種類は豊富です。
リフォームで新しい屋根材にしても瓦屋根で住宅のイメージを維持したい、やっぱり瓦の持つ重厚感が好き、という方もいらっしゃるでしょう。
そういった方には
軽い金属で瓦を模して作られた金属瓦がおすすめです。各社から製品が出ていて、重さは瓦の約10分の1程度。
ガルバリウム鋼板やエスジーエル(次世代ガルバリウム鋼板)製であれば耐久性も高く、今後も安心です。
屋根のリフォームは数十万〜数百万円の費用が掛かる大掛かりな工事です。
突然の雨漏りで工事が必要になったとしても、慌てて決めてしまっていいのか心配になりますよね。
アメピタでは
「屋根のイメージを変えたくない」
「急な出費に不安がある」
などのご希望・お悩みをお伺いした上で、雨漏りと屋根の状況を確認し、修理方法をご提案させていただきます。
どのような補修をするべきなのか、屋根葺き直しと屋根葺き替えどちらが良いのか。
リフォーム計画を立てるには、今後そのお住まいにどれだけ住み続けるのかなどを考える必要が出てくることもあります。
気になる点、ご不安なこと、こだわりたい点等はなんでもアメピタにご相談ください。
瓦屋根葺き直し工事で雨漏り解決、不安も解消しましょうまとめ

屋根葺き直しとは現在の瓦を再利用し下地を補修する工事です
屋根葺き替えは廃材が抑えられ環境に優しいリフォームです
屋根の見た目をほぼ変えること無く屋根のメンテナンスができます
屋根葺き直しが可能なのは、瓦や天然スレートなど耐久性の高い屋根材のみです
屋根材の費用を上乗せして屋根葺き替えにする利点もあります。ご検討ください
→ 防水紙の役割と重要性