トタン屋根は、新築工事で使用されることは少なくなってきましたが、いまだ数多くの建物で使用されている屋根材でもあります。
当ページでは
トタン屋根における雨漏り発生のメカニズムをご紹介し、どのようにメンテナンスを施すことが適切なのかを解説いたします。トタン屋根の雨漏りに現在お困りの方はもちろん、トタン屋根にお住まいの方で雨漏りに悩まされずに適切に建物をメンテナンスしていきたいという方の参考となれば幸いです。
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トタン屋根の特徴や耐用年数について知っておきましょう
戸建てのトタン屋根というと一般的に「瓦棒屋根」を指すことが多いですね。 また古い倉庫や工場、建物になると波型をしている「波板トタン」が使用されていることもありますね。 「トタン」という言葉自体はなじみがあるという方もいらっしゃると思いますが、どういった屋根材なのかご存知という方は少ないのではないでしょうか。まずは特徴について見てみましょう。
トタンは緩勾配の屋根や雪下ろしが必要な寒冷地で使用されることが多い屋根材で、下記のようなメリットやデメリットがあります。
メリット
- 非常に軽量(瓦の1/10程度)であり、地震などの揺れに強い
- 比較的安価で施工が容易である
- 緩勾配(角度が緩い)の屋根に使用することができる
デメリット
- 亜鉛メッキが劣化することで錆が発生する
- 軽量のため、台風などの強風や突風の影響を受けやすくめくれやすい
- 緩勾配であるため水の流れが悪く、雨漏りがしやすい
- 寿命が10~20年と比較的短い
- 断熱材がないと太陽光の熱を室内に伝えてしまいやすい
- 遮音性が低く、雨音が大きい
なじみのあるトタンですが、メリットと比較してもデメリットが多く屋根材として一般的にはなり得なかったことがわかりますよね。後述もしますが、特にデメリットで上げた「錆」や「風によるめくれ」、「緩勾配」は直接雨漏りに関わる要因となりえます。 正しくトタン屋根の特徴を把握して、必要なメンテナンスをすることで雨漏りを未然に予防することも可能です。まずはトタン屋根ではこのようなメリットやデメリットといった特徴があるということを覚えておきたいですね。
トタン屋根の全景を見てみましょう。
瓦やスレートは一枚一枚の屋根材を重ねることで一つの屋根を形成していますが、トタン屋根は屋根の棟(屋根の頂点)から軒天までを一枚のトタンで覆っています。
例えば瓦屋根の場合、60平米の面積の屋根には約1,000枚の瓦が載っています。スレートであれば400枚ほどのスレート屋根材が載っていますが全然違いますよね。 瓦もスレートも一枚一枚の屋根材を重ねるように葺いていくため、屋根材同士の重なり部分には必ず隙間が設けられておりますが、トタン屋根の場合は棟から軒先まで隙間なく屋根材が敷かれているのが大きな違いと言えるでしょう。
こちらは壁際の外壁との取り合いです。 「取り合い」という言葉、聞きなじみのない方も多いですよね。要するに屋根と外壁の接続部分のことでこうした取り合い部分はトタン屋根に限らず雨水の浸入を許しやすい場所となっているため「雨仕舞」を行い、不用意に水が浸入しないように施工されています。
次に屋根材がどのように施工されているのか見ていきましょう。
トタン屋根は野地板・防水紙(ルーフィング)・トタン屋根の三層構造で、一次防水として屋根材が雨水の浸入を防ぎ、万が一屋根材の下に雨水が入り込んでも二次防水として防水紙(ルーフィング)が雨水を最終的に建物内部に入り込むことを防いでいます。つまり屋根材であるトタン部分から雨水が浸入しても、防水紙(ルーフィング)が最後の砦となって結果的に雨水の浸入を防いでいるため雨漏りには至らないような構造となっているのです。
もちろんこれはトタン屋根に限った話ではなく、瓦屋根にしてもスレート屋根にしても屋根材と防水紙の一次防水、二次防水によって屋根からの雨漏りを防いでいます。 しかしながら防水紙(ルーフィング)も屋根材同様、経年劣化による破れや敷設の際に使用されたタッカー(防水紙を野地板に固定するホッチキスのようなもの)の穴が存在することなどからいつまでも完璧に雨漏りを防いでくれるわけではありません。
屋根材であるトタン自体は「新築の頃より塗料が剥げて色が変わってきてるな」「錆が出てきているな」など、その外観により劣化症状を把握することは出来ますが、防水紙(ルーフィング)の劣化は直接目視で確認することはできません。確認するためには屋根裏から野地板の裏側を見て「雨染みの有無」を確認してみることです。
いずれにしても屋根の構造上、
トタン屋根の雨漏りのメンテナンスには屋根材であるトタン、そして防水紙(ルーフィング)の両方に気を配る必要があるということがわかりますね。
雨漏りとは雨が建物内部にまで浸入してくることをいいますよね。 それによって建物自体や内装、室内の什器にまで被害が及んでしまう事があるわけですが、本来、屋根の防水性能が正常であれば雨が浸入してくることなんかあり得ないわけです。
では一体どのような原因が考えられるのでしょうか?
雨漏りを許してしまったということは屋根のどこかに雨水の浸入口があるということですよね。ほんの僅かな隙間でもあれば浸入してしまう雨水。そのわずかな隙間がどのようにできてしまうのか見ていきましょう。
金属であるトタンにとって大敵である錆。トタンと錆は切っても切れない関係で、トタン屋根のメンテナンスは、その健康を維持するために常に錆との闘いであるとも言えます。トタン屋根の雨漏りの原因で最も多い「錆」、どのように錆が発生し、穴にまで発展してしまうのか見ていきましょう。
【トタンの錆発生メカニズム1】トタン屋根の保護層(亜鉛メッキや塗膜)の劣化
トタンとは建築資材として使用されている「亜鉛めっき鋼板」のことで、鋼板の表面を「亜鉛めっき」と「塗膜」によって保護されています。つまりトタンは「鋼板+亜鉛メッキ+塗膜」の三層構造になっているというわけですね。
亜鉛メッキや塗膜によって保護されているうちはトタン屋根が錆びるということはないのですが、太陽光の紫外線や熱・雨や雪などの水分の影響を受けて経年で徐々に表面の保護層の劣化が進行する、また飛来物によってトタンの保護層が傷つき、鋼板がむき出しになってしまうといったことも想定されます。 ※ここでいう錆とは皆さんのイメージにもある赤茶色の「赤錆」を指します。
塗膜と亜鉛メッキで保護されている鋼板。 経年劣化で塗膜が剥がれても、その下にある亜鉛メッキが本来は錆から守ってくれています。ちょっと難しい話なのですが、「犠牲防食」といって亜鉛メッキが錆びる(白錆)ことによって、鋼板自体が露出し、錆びないよう守ってくれているのです。 しかしこの守ってくれている白錆も経年でどんどん剥がれてしまいます。亜鉛メッキ自体は塗装などで回復させることもできないため、一度剥がれてしまえば鋼板はむき出し状態となってしまい後は錆びるのを待つだけとなってしまうんです。
【トタンの錆発生メカニズム3】錆の発生と進行 最悪の結果トタンが貫通して穴が空
鋼板が露出し、空気中の酸素と水と反応することによって錆が発生します。 そしてどんどん錆が広がっていき、見る見るうちに屋根の強度を下げていくことになってしまいます。 錆というのは金属が腐食している状態です。腐食の状態を長期間放置することによって最終的には屋根に穴が空いてしまうという結果になってしまうのです。
穴が空いてしまえば、そこに雨が降れば無条件で雨水の浸入を許してしまう事になります。またトタン屋根は緩勾配であることが多いため、他の屋根材と比較しても降った雨水が即座に雨樋に運ばれることはせず、滞留してしまいがちです。錆による穴に加えて緩勾配というトタン屋根の弱点によって雨漏りが起こるのも当然の結果だと言えますよね。
「棟板金ってどこのこと?」という方もきっと多いですよね。 屋根の面と面が合わさった頂点部分を「棟」と言い、その棟を覆う形でカバーしている板金を「棟板金」と言います。 屋根が重なりあっている場所であるため、隙間が生まれ、そこから雨水の浸入を防ぐため雨仕舞としての役割がある棟板金。この棟板金がもし風によって飛散してしまった・剥がれてしまったということになれば天に向かって口を開けてしまっている状態と同じですから、雨が降ればどんどん雨水を建物内部へ入れてしまう事になりますよね。
本来棟板金は風によって飛散や剥がれが起きないように釘で固定されています。 しかし日夜の温度差、季節による温度差の影響を直接受ける屋根の上、金属はその特性によって温度差による収縮を繰り返し、徐々に固定している釘が浮いてしまいます。すると釘穴より水が入り込んでしまい、内部に固定のために設置されている木材(貫板 ぬきいた)の固定強度を弱めてしまい釘による固定が効かなくなってしまうのです。
屋根の頂点はお住まいの中でも最も風の影響を受けやすい場所となりますから、台風や突発的な強風に見舞われれば風の影響が大いに働き、固定力を失った棟板金がどうなるのか・・・もうわかりますよね。 実は
棟板金の飛散や剥がれ、またそれによる雨漏りは台風や強風後に大変多くお問合せをいただく不具合なのです。
金属屋根は、他の屋根材に比べると軽量で建物への負荷が少ないというメリットがありますが、一方で台風や突風などの風に弱いというデメリットがあります。 特に瓦やスレートと違い一枚の屋根材の面積が広いため釘の緩み等によって固定力が弱まってしまうと強風の影響を受け屋根材がごっそりと剥がれてしまう・めくれてしまうという事態が起こりえます。
屋根材であるトタンがめくれてしまえば下地がむき出しの状態になってしまいますよね。防水紙が敷かれていれば、即座に雨漏りにつながるといったことは避けられるかもしれませんが経年劣化で防水紙が傷んでいた、強風によって運ばれてきた飛来物が防水紙を傷つけ破いてしまったという状況であれば即座に雨漏りが始まってしまいますよね。
いずれにしてもトタン屋根は他の屋根材以上に強風を伴う天候の日は注意が必要だと言えます。
台風が来る予報が出ていれば
「釘が抜けかかっていないか・トタン屋根がめくれかかっている箇所がないか」等を専門業者にチェックしてもらって必要があれば応急処置を施してもらうといった対応をお勧めします。 また台風の後や突風などの風が強い翌日などは、ご自身で見える範囲で構いませんので、屋根に異常がないかをご確認いただき、不具合や不安な点があれば雨漏りを許さないようこちらも専門業者に見ていただくようにしてくださいね。
雪国に多く採用されているトタン屋根(瓦棒葺き)ですが、緩勾配であるため雪の降る季節に屋根に上って雪下ろしをしやすいという特徴があります。しかし逆に平らであるが故に雪が屋根の上に積もりやすいといったことにも繋がりますよね。 すがもりとは雪国特有の事象ですが、雪や固まった氷が屋根に滞留し、排水の邪魔をし、行き場を失った水分が屋根の継ぎ目から建物内部に浸入してしまうことを言います。
雨による雨漏りとは違いますが、水分が建物内部に浸入してしまうという点では変わりません。雪国であるため屋根からの落雪による事故を防ぐため緩勾配の屋根が採用されることが多いのですがこのようなリスクもあるのです。
雪の季節が終わったら屋根の状態を必ず点検し、トタンの寿命に合わせて適切なメンテナンスを行うといったことが必要ですね。
トタン屋根の雨漏りを防ぐ!最適なメンテナンス方法とは
雨漏りの進行状況・屋根の劣化状況によって必要とされるメンテナンス方法は様々です。
ここでは状態別で最適なメンテナンス方法を見ていくようにしましょう。
風の影響を受けてしまい、部分的にめくれがみられるような状態であれば被害箇所の屋根材を部分的に張り替えるといったメンテナンスも考えられます。 ただし風の影響を受けてしまうほど釘などの固定力が落ちている可能性もあります。専門業者に下地の状態なども確認していただいた上で部分的な補修が最適かどうか相談してみてください。 現時点で雨水の浸入口ができてしまっている状態ですので早急にメンテナンスすることをお勧めします。
築10年を超せば経年で塗膜が剥がれ、劣化が錆から穴に発展してしまう時期ですね。長い目でみて建物の健康を維持するためにも屋根カバー工事や葺き替え工事をお勧めします。 数ミリ程度のわずかな穴であれば、錆を除去しコーキングで塞いで部分補修で雨漏りのリスクを回避することも可能です。 ただし穴が空いているということはそれだけトタンが劣化している証拠でもあり、該当箇所以外でも今後次々と同様の被害が広がっていく可能性もあります。トタン屋根の寿命も視野に入れたリフォームを検討しましょう。
すでにトタンの寿命を過ぎてしまっている可能性があります。また所々に散見される穴より雨漏りが始まって、下地まで傷めてしまっている可能性もあります。屋根葺き替え工事で屋根材・下地をリフレッシュして建物の健康を根本から直すことをお勧めします。
トタン屋根は他の屋根と比較しても軽い屋根材です。建物の構造や設計にもよりますが軽量な金属屋根材を葺くことを前提に設計されている可能性があるため、葺き替え後の屋根材も金属屋根を使用することが前提になるでしょう。その際はトタンよりも錆に強いガルバリウム鋼板をお勧めします。
新しい棟板金に交換しましょう。 屋根の頂点にある棟板金は風の影響を受けやすく、固定力が弱まりめくれてしまった棟板金はいつどこかに飛んで行ってしまうかもわかりません。我が家の庭に落ちた、自宅が雨漏りしたということであれば自分のことだけで済みますが、飛散してしまった棟板金が通行者を傷つけた、お隣の窓ガラスを割ってしまったといった二次被害を生んでしまっては目も当てられませんよね。
特に台風や突発的な強風が吹いた次の日は棟板金に関する不具合が多数報告されます。 悪天候後は特に気にしていただき、「屋根の上からバタバタと音がする」「庭に見覚えのない釘が数本落ちている」「遠目からみたら棟板金がめくれている(飛んでなくなってしまっている)」といったことがありましたら早急にご相談くださいね。
トタン屋根は他の屋根材と比較しても寿命が短い、だからこそこまめなメンテナンスを!
トタン屋根の特徴や雨漏りの原因、状態別のメンテナンス方法まで見てきました。 実は現在はトタン屋根が新築に使われることもほぼなくなり、金属屋根といえばガルバリウム鋼板が1990年以降徐々に主流となってきています。もしそれ以前に建てられたトタン屋根の建物であればトタン屋根の寿命である20年をはるかに超えてしまっていますよね。
トタン屋根の建物を所有されている方で雨漏りのご相談を受けて点検にお伺いすると多くの建物が寿命間近、もしくは過ぎているといったケースが大変多いことに驚きます。これでは「雨漏りが起きてしまっても・・・」と思わざるを得ないような建物が本当に多いのです。
冒頭にも書きましたが屋根には「家の中で暮らす私たちを守る」という役割があります。雨漏りを起こしている屋根はすでにその役割を果たしていないということですよね。まだ雨漏りしていない方はそうならないようにこまめなメンテナンスを行うこと、すでに雨漏りしてしまっている方は雨漏り被害を最小限にとどめ、屋根本来の役割を果たせるよう適切なリフォームを検討するようにしましょう。
トタン屋根からの雨漏り原因とメンテナンス方法まとめ
トタン屋根の寿命は10年から長くても20年程度
トタン屋根のメリット・デメリットについては以下のようなものがあります
メリット
・瓦の1/10程度の重さしかないため非常に軽量であり、地震などの揺れに強い
・比較的安価で施工が容易である
・緩勾配(角度が緩い)の屋根に使用することができる
デメリット
・金属製品のため、亜鉛メッキ処理が劣化することで錆が発生する
・軽量のため、台風などの強風や突風の影響を受けやすくめくれてしまいやすい
・緩勾配であるため水の流れが悪く、雨漏りがしやすい屋根材である
・寿命が10年~20年と他の屋根材と比較しても短い ・断熱材がないと、太陽光の熱を室内に伝えてしまいやすい
・遮音性が低く、雨が降った時の雨音が大きい
メリットよりデメリットが多く、1990年以降の金属屋根の主流はガルバリウム鋼板へ
トタンはスレートや瓦と違い大判の屋根材を軒先から棟にかけて隙間なく葺いていることが多い
野地板・防水紙・トタンの三層構造で、一次防水として屋根材が雨水の浸入を防ぎ、二次防水として防水紙が最終的な建物内部への雨漏りを防いでいる
トタン屋根の雨漏りの原因としては主に「錆による穴あき」「棟板金の飛散やめくれ」「強風などによるトタンのめくれ」などが考えられる
雨漏りを未然に防ぐためには新築から10年程度で錆が発生する前に塗装によるメンテナンスが必要になる
寿命が迫り、重度の錆や穴が散見される場合は屋根カバー工事や葺き替え工事が適切である