屋根でおなじみの瓦。特に和瓦はとても耐久性の高い屋根材で、50年以上持つとも言われています。しかし、
地震や台風などがあった際に点検や修理のお問い合わせをいただくことが多いのも瓦屋根です。瓦を屋根に施工するための建材にも寿命がありますから、瓦そのものが丈夫でもずっとノーメンテナンスというわけにはいかないのです。
また瓦屋根の中でも頂部にある
棟瓦は雨風の影響を受けやすく、経年で雨漏りの原因になりやすい部分です。
「強風時に棟瓦が崩れてしまった。雨漏りしそうで心配」「棟瓦がずれて落ちそうになっている。すぐに補修をした方が良いのかしら」 など、実際に棟瓦に被害を受けてご不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ずれたり崩れたりしてしまった棟瓦は取り直し(積み直し)で修復しましょう。 このページでは、
棟瓦が引き起こす雨漏りの原因を解説、さらに
棟取り直し工事による修理方法、
どんな時に棟瓦取り直しが必要なのかなどを詳しくご紹介しています。
近年の工法ではより丈夫で耐震性の高い棟を造ることも可能です。現在、雨漏りや棟瓦の倒壊でお困りの方も、
棟瓦取り直し工事で安心・安全な瓦屋根を取り戻しましょう。
【動画で確認「棟瓦取り直し・積み直し」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
↓ ↓ ↓
【動画で確認「棟瓦取り直し・積み直し」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。
動画で見たいという方は是非ご覧ください!
屋根の山の稜線になっている部分の事を「棟(むね)」と呼びます。そして瓦屋根の場合、棟部分には棟瓦が施工されています。屋根の高い場所にカマボコ型の冠瓦が並べられ、またその端に鬼瓦がある、ご自宅もそのような形になっているのではないでしょうか。
この棟瓦は、
屋根の面と面がぶつかる境目の部分に設置されています。
棟瓦が無い状態の瓦屋根をご覧ください。このように、面同士の境目には空に向かって隙間が空いている状態ですから、このままでは雨が屋根の内部に入り込んでしまいますね。
そこで棟瓦が大きな役割を果たします。棟瓦はこの隙間を覆うように施工され、上からの雨を受け止め流すことで、雨漏りを防止し屋根と建物を守るのです。
ご自宅の屋根はどんな形でしょうか?
シンプルな三角屋根である切妻屋根には大棟がひとつ、多くの住宅で採用されている寄棟屋根では、頂上に大棟、そして四隅に向かって隅棟があります。もっと複雑で棟がいくつも存在するお住まいもあるでしょう。
また、入母屋屋根などでは、面の境目ではない部分に降り棟と呼ばれる箇所があることもあります。
瓦屋根にとって、雨漏りを防ぐための重要部分である棟瓦。
そもそも屋根というのは毎日雨風や日光に晒され過酷な環境にあることはご想像いただけることと思います。その中でも特に棟瓦というのは、屋根の高い場所や出っ張った場所にあるためダメージを受けやすい部分であり、経年で気づかないうちに劣化し耐久性が弱くなっていることもあるのです。
そんな棟瓦を一度解体し、造り直すのが「棟瓦取り直し(積み直し)」と呼ばれる工事です。
強風などで突然棟瓦が崩れてしまい、すぐに直せるのかな…とご心配な方もご安心ください。棟瓦取り直しなら1日~数日の工事で見た目も美しく修繕することができます。
棟取り直し工事は次のような場合におすすめいたします。屋根の上がよく見えないという時には無理して上がったりせずに専門業者に点検を依頼してくださいね。
棟を構成する瓦がなんだかガタガタとしてずれている。頂部の冠瓦が浮き上がっていて外れそう。
棟瓦の固定力が落ちているときの症状です。地震や風など、強い力が加わった際に瓦が落ちたり崩れたりすると危険です。早めに修理を検討しましょう。
2階の窓から1階の屋根が見える造りのお住まいであればご覧になれるかもしれません。棟は真っすぐ施工されるものです。
それが曲がったりうねったりしていると、棟が崩れる原因になります。こちらも早めに修理すると安心です。
棟が崩れてしまった状態です。
次に雨が降った時に雨漏りを引き起こしてしまう可能性が高いため緊急性の高いケースですね。
しかし大きな地震や台風があった時などは、近隣の修理業者の手が回らず工事が遅れる場合もあります。瓦が落ちてくると危険ですし、屋根がそんな状態で何日も過ごすのはとても不安ですよね。そういった場合には
本工事までの間の処置として雨養生をさせていただくことがあります。この雨養生は、特に既に雨漏りしてしまっている場合には十分効果を発揮できないこともあるので、あくまでも応急処置とお考えくださいね。
瓦屋根へ養生する際にブチルテープを使おうとする業者には注意しましょう
棟瓦取り直しや瓦の葺き直しなどで現在の瓦を再利用する場合に、強固な粘着性を持つブチルテープが綺麗に剥がせず再利用不可になってしまうこともあります。瓦の商品や色によっては廃番で手に入らない事もあるのです。
大きな自然災害があると、それに便乗して悪質な訪問業者が被災地に出没することがあります。不安な気持ちにつけ込まれることのないよう十分注意してくださいね。
●ブルーシートによる養生だけで高額な請求をする。
●養生は無料でしてくれたが、本工事を強引に契約しようとする。
ところで、棟瓦はどのように施工されているのでしょうか。
以下の図は、葺き土を使用した棟瓦の一例で「大回し工法」と呼ばれるものです。
現在築20年以上の瓦屋根なら多くがこのような施工方法でしょう。棟部分に
葺き土を盛り、のし瓦を積みながら形作り、頂部に
冠瓦を載せます。使用される葺き土は粘土質で、瓦を支え固定する力があるのです。最後に、途中で仕込んでおいた
銅線でくくり補強します。
ところが
年月が経過すると使用している材料が劣化し、固定力が徐々に弱まってしまいます。すると雨を防ぐことが出来ず雨漏りを引き起こしたり、地震や強風の際に支えきれなくなり棟瓦自体が崩れてしまったりするのです。 棟瓦の劣化には次のような要因があります。
棟瓦と、その下の平瓦の間にできる隙間、ここには多くの場合、
漆喰が詰められます。しかし経年で漆喰が割れて剥がれ落ちてしまうと、そこにぽっかりと穴が空いた状態になります。それだけでも棟を支える力が弱くなりますが、さらに、内部の土が露出してしまうためそこに雨が吹き込めば雨漏りに繋がります。
棟瓦をまとめる銅線も少しずつ緩んできます。また外気に晒され続けることで劣化し、最終的には切れてしまいます。のし瓦がずれてしまう原因のひとつです。雨漏り点検でお伺いすると銅線の多くが既に切れている、というお住まいもよく見かけます。
棟に芯材を取り付け、そこに冠瓦を釘で留めてあるタイプの棟瓦です。芯材が腐食してくると釘が徐々に浮いてきてしまいます。当然、
釘が緩めば冠瓦が外れて内部に雨を浸入させることになります。
棟瓦倒壊の被害に遭うときは、台風や地震が直接的なきっかけであることが多いのですが、実はその原因は、このような
棟瓦を支える部材などの劣化にあります。出来るならば、大きな被害になる前に点検・メンテナンスを行い安全な屋根を保つことがベストです。
屋根の状態により、部分的な補修で済む場合や、棟取り直しが必要なケース、また屋根葺き替えなど全体の改修をした方が良いケースがあります。いずれにせよ
屋根の不具合は軽微なうちに点検し、必要な修理を行なっておくのが、雨漏りからお住まいを守る基本です。棟が歪んでいる、棟瓦が外れそう、とご心配なときには早めに専門業者に点検をご依頼ください。
棟瓦取り直し工事をするのであれば、ずれや崩れの起こりにくい棟にするのはいかがでしょうか。より丈夫な棟に造り替えることができるのなら今後も安心ですよね。
阪神・淡路大震災の5年後、2000年に改正された建築基準法を受け、瓦の施工に関してもガイドラインが制定されました。瓦のずれ・飛散による被害を抑えるための施工方法が推奨されるようになったのです。
それまで土や漆喰のみで支えていた棟瓦ですが、
ガイドライン工法では棟に芯材とそれを固定する補強用金具を取り付け、そこに冠瓦をネジで固定します。さらに左右ののし瓦も銅線などで結び合わせるので、これまでよりも風や地震に格段に強い棟を造ることができます。
屋根のリフォームで、お住まいの耐震性をアップすることも可能です。
重心が高い位置にあると、ものが揺れたときの揺れ幅は大きくなります。重い屋根を軽くすることができれば、その分建物の重心が低くなるので、揺れ幅が小さくなり、躯体への影響も少なく済むのです。
棟の乾式工法とは、葺き土や漆喰を使用せず、棟部分を乾式面戸シートと呼ばれる防水性のあるシートで覆い雨水の浸入を防ぐ施工方法です。 土のかわりによく使われる南蛮漆喰は、棟1mあたりの重さが約10㎏、それに比べ乾式面戸シートは約600gですから、どれだけ軽くなるのかがお分かりいただけると思います。乾式工法ならのし瓦を高く積み上げることもないのでその分の
重量も削減されることになりますね。
ここでは、土葺きの棟瓦から、南蛮漆喰を使ったのし瓦無しの棟へ、取り直し工事の様子をご紹介いたします。
大型台風の際に、棟が崩壊し瓦が落ちてしまったお宅です。重い瓦が落下しましたが人への被害はなかったとのことで幸いでした。崩れたのは一部ですが、この機会に全ての棟を取り直しいたします。
まずは今ある棟瓦や、内部の土を撤去し、清掃します。瓦をそのまま流用し取り直しをする場合には破損しないよう注意いたしますが、今回は全て新しい瓦に交換です。
棟にステンレス製の補強用金具を取り付け、さらに芯材を固定します。
芯材の周りに南蛮漆喰を塗り固めていきます。南蛮漆喰は漆喰に油脂等が混ぜられていて防水性も高く、近年では葺き土のかわりに使われます。
冠瓦を芯材に固定します。
もともとはのし瓦が2段積まれた棟瓦でしたが、今回の取り直しではのし瓦は使用しません。古くはのし瓦が高く積まれているほど格式が高く立派な屋根と言われましたが、瓦のずれ等にも繋がるため、こだわらない方も多くなっています。
棟瓦の取り直し完工。真っすぐで飛散しにくい棟が完成いたしました。
これまでご紹介してきたように、棟からの雨漏りや棟瓦の落下、棟の倒壊などの修繕には棟取り直し工事が行われます。
しかしそもそも棟取り直しが必要な状態、つまり棟瓦の固定力が弱まった状態になるまでには、棟を構成する部材の劣化があり、そのほとんどは漆喰の劣化から始まります。漆喰が傷んで剥がれ落ちれば、空いた隙間によって中の土を風雨に晒すことになり瓦を支える土が削られてしまうため、棟瓦が内部からどんどん弱くなってしまうのです。
そこで有効なのが漆喰補修工事です。漆喰の傷みが軽度なうちに補修をしておけば、雨漏りや瓦のずれ・落下を予防することができます。
瓦屋根に使われる漆喰は10年もすると劣化し始めます。
●漆喰が灰色になってきた
●ひび割れている
●塊が屋根から落ちてきた
このような症状に気が付いたときは漆喰補修をご検討ください。
瓦屋根への地震や風災対策として「ラバーロック工法」というものがあります。
これは瓦のずれや浮き上がりを防ぐために、コーキングを使って瓦の一部を止める工事で、棟にも施工されることがあります。
この工事には一長一短があり、確かにずれや浮き上がりを防ぐ効果がありますが、いざ雨漏りをしてしまった場合には復旧を困難にさせてしまうこともあります。コーキングを切断、撤去する手間が余計にかかる、それによって瓦が破損してしまう事もあるなどです。
ラバーロック工法を施していたことで、雨漏りの原因調査において浸水経路が特定できない、という事もありました。ずれ防止のための安易なラバーロック工法には注意が必要です。
台風によって棟瓦が飛散して雨漏りに!
突然の被災では、お住まいや生活への不安が募るばかりか、すぐに修理が必要となれば経済的な負担も強いられ、心配事は増えるばかりです。でももし火災保険にご加入なら、棟瓦取り直し工事やその他の修繕に適用できるかもしれません。
近年は大型台風やゲリラ豪雨が相次ぎ、「火災保険は火災以外の損害にも適用できる」という認識が広まりつつあるのではないでしょうか。火災保険は、風災や水災など、以下のような理由で家屋や家財に被害を受けた際、申請すれば補償を受けることができる場合があります。
つまり、台風や強風による棟瓦倒壊などでお困りならその修繕費用を火災保険にて賄える可能性があるのです。実は8割以上の方が新築時に加入していると言われる火災保険。お心当たりのある方は一度保険証書を確認されてみてください。
アメピタでは、申請に必要な書類作成のお手伝いもさせていただきますのでまずはご相談ください。
また、以下の点にはご注意いただければと思います。
火災保険の申請は、上記のような自然災害による被害である事が大前提であることに加えて、申請期限が3年と定められています。時間が経てば経つほど、それが本当にその自然災害で受けた被害なのか判断が難しくなってしまいますよね?その場合、補償が認められなかったり減額されたりしまうことだってありえます。
正しく保険を活用するためにも、被害が発生したら遅延なくすぐに申請するのが原則です。
火災保険が使用できるのは、「被災箇所」と「被災箇所を復旧するにあたって必要な箇所や仮設設備」などです。
例えば、隅棟のひとつが崩れて棟取り直し工事が必要になった場合、火災保険で賄えるのはその部分の復旧のみです。この機会に、被害の出ていない箇所も含めて全ての棟を工事したい、となってもその差額分は自己負担となるのでご注意ください。
アメピタではご希望とご予算に合わせてご提案させていただきますのでご相談くださいね。
多くの方が加入されている火災保険ですが、プラン等により補償内容には違いがあります。風災や水災による被害は対象外、という事もあり得ますので、ご契約内容をご確認されることをおすすめします。
飛び込みでやってきた業者に「保険で全額賄えますから大丈夫ですよ!」などと言われ工事を契約し、トラブルになってしまうケースが相次いているようです。実際に保険金が支払われるかどうかは保険会社の判断で決まります。それも判明しないうちに契約・請求を迫る業者にはご用心ください。
早めの点検と修繕で、長く安心して住み続けられる瓦屋根に
近年はスレート製や金属製の軽くてシンプルなデザインの屋根材が人気ですが、独特の重厚感と風合いがある瓦も未だ根強く愛されています。しかし瓦屋根の場合お住まいの築年数が長い事も多く、自然災害時に重大な不具合を起こしがちです。雨漏りともなれば、修繕のための費用も手間もかさんでしまいます。
台風や地震等の後には、見える範囲で構いませんので屋根の様子を確認し、瓦のズレや歪みなど気になる点がないかチェックしてみてください。アメピタでは無料点検を行なっております。棟瓦取り直しを含め、今の屋根に必要なメンテナンスをご提案させていただきますのでお問合せください。
また現在、棟瓦が崩壊してしまった、それにより雨漏りが始まってしまったとお困りの方もまずはご連絡ください。できる限り最短で駆け付け、被害が拡がらないよう処置したうえで、修繕のご相談をさせていただきます。
瓦屋根の中でも棟部分はデリケートな箇所です。経年で気づかないうちに固定力が弱まり雨漏りを引き起こします。棟瓦の歪みやずれ、崩れがある際はお早めにアメピタの無料点検をお申し込みください。
「棟瓦取り直し・積み直しで雨漏りの被害を防ぎ瓦屋根を健康に」のまとめ
屋根の面と面の境目にある棟は雨風のダメージを受けやすく雨漏りの原因になりやすい部分です
棟瓦を一度解体し造り直す工事を棟瓦取り直し(積み直し)といいます
棟瓦取り直し工事は、以下のような場合に有効です
●棟の瓦がずれたり外れたりしている
●棟全体が歪んでいる
●棟瓦の倒壊
棟瓦の被害は棟を構成する漆喰や葺き土、銅線、釘などの劣化から生じるので、早めの点検とメンテナンスが大きな被害を防ぎます
耐震性に優れたガイドライン工法、さらに軽量な乾式工法などをお選びいただくと安心です
棟部分からの雨漏りや棟瓦のずれなどを防ぐには早めの漆喰補修が効果的です
棟瓦取り直し工事に火災保険が使えるケースがあります。補償内容や補償の範囲などにご注意ください