屋根塗装で使用する塗料には多くの種類があります。屋根は普段の生活では見ることはないため「どの塗料を選んでも違いはない」と思っている人も多いかもしれません。しかし、塗料は屋根材の耐用年数を左右する重要なものです。塗料の種類と選び方のポイントを紹介します。
主な特徴
・耐用年数8~10年
・比較的安価
・柔軟で付着性が高い
・塗膜に光沢感がある
ウレタン塗料は汎用性が高く塗装する場所を選びません。ほかの塗料と比較すると耐久性が劣りますが、費用を抑えて塗装をしたい人には向いています。
ウレタン塗料はこれから紹介する塗料に比べるとグレードは低いのですが、シリコン塗料と呼ばれるものが登場するまでは主流の塗料でした。
高性能の塗料が登場したため、結果としてグレードが下がりましたが、価格に見合った耐久性はあります。
主な特徴
・耐用年数 10~15年
・ウレタン塗料よりも耐久性がある
・防汚性や耐熱性がある
・価格と耐久性のバランスが良い
価格の割に耐久性が高く、いわゆるコストパフォーマンスの良い塗料です。しかし、やや弾性が低くひび割れしやすいです。また密着性が弱い傾向があることから、重ね塗りの際には相性のいい下塗り材を使用する必要があります。
シリコン塗料は種類が豊富なのも特徴です。さまざまな種類の塗料から好みに合うものを選べるのはメリットではありますが、同じシリコン塗料でも価格や性能に幅があります。性能に幅があるのは、シリコンの性能は塗料に含まれるシリコンの割合に左右されるためです。シリコン含有率が高い塗料の方がシリコン塗料のメリットがはっきりと出るため、シリコン含有率の低い塗料は価格帯が低く耐用年数も短いと考えてください。
主な特徴
・耐用年数 15~20年
・シリコン塗料よりも耐久性があり色あせに強い
・シリコン塗料よりも防汚性や耐熱性がある。
・防カビ性や防藻性もある
価格帯は高いものの耐用年数が長く性能も高いです。特に耐熱性については、フライパンでもフッ素コーティングされたものがあるくらい性能が高いです。初期費用がかかっても将来のメンテナンス頻度を減らしたい人に向いています。
主な特徴・耐用年数 20年以上・耐久性や耐熱性が高い・ベースとなる塗料によって性能が左右される
無機塗料の「無機」とは鉱物、レンガ、ガラスなどの無機物を指します。これらの無機物は高い耐久性や耐熱性を持ちます。レンガやガラスを屋外に置いても形状が崩れたり腐食したりしないことからも、無機物の耐久性の高さがわかるでしょう。
ただし、レンガやガラスがそのまま塗料になるわけではなく「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「フッ素」などの有機塗料に無機物を付加して「無機塗料」が作られます。簡単に言うと、有機塗料に無機物を混ぜ、もともとの塗料の耐久性を高めたのが「無機塗料」なのです。
無機塗料の性能はベースになる塗料によって性能が変わってくるため塗料ごとに差が生じます。
中には上記で紹介したグレードの塗料と耐久性がさほど変わらない無機塗料もあるかもしれません。
名前のとおり熱を遮る塗料で、建物の屋根や外壁に塗装することで室内温度の上昇を抑えます。省エネで家計に優しいだけでなく、ヒートアイランド現象の抑制も期待できます。ただし夏の暑さは緩和できますが、冬の寒さ対策にはなりません。遮熱塗料にはウレタンやシリコン、フッ素塗料などさまざまなグレードのものがありますが、塗膜の表面が汚れると熱を反射する機能が落ちるため、防汚性のある塗料を選ぶのがポイントです。
熱の出入りを抑える塗料で、夏は熱が家に入り込むのを防いで暑さを緩和し、冬は熱を逃がしにくくして温かさを確保します。ただし、塗膜は断熱材のような厚みはないため、内装にも塗布する、塗料に遮熱機能と断熱機能を持たせるなどの方法で、より効果を発揮させるといった工夫が必要でしょう。
正確には「ラジカル抑制塗料」といい、「ラジカル」の発生を抑制したり、閉じ込めたりする機能を持っています。ラジカルとは塗膜の劣化因子です。ラジカル抑制機能により塗料は高い耐久性を持ちます。
それぞれ特殊な機能だけに価格帯は一般的な塗料よりも高めですが、求めている機能に応じて検討していきましょう。
屋根用塗料を選ぶときにまず決めたいのが、コストについてです。どれくらいまでなら予算を確保できるのかが明確でないと、工事費を含む塗料代金は決められません。
まずは最大でこのくらいの価格帯で塗り替えたいというのを決めましょう。
次に考えたいのは、塗料の耐用年数です。屋根塗装は、どのような塗料を使っても決して安いものではありませんので、「できれば長い間もつものがいい」と思われるでしょう。
似たような金額ならば、できるだけ長い耐用年数の塗料を選びましょう。次の屋根塗装までのサイクルを長くできます。
屋根塗装に使う塗料に機能性を求めるかどうかも、塗料選びの大事なポイントです。上で触れた「遮熱塗料」「断熱塗料」を選びたいかどうかも検討してみてください。
一般的な塗料であっても、「比較的汚れが付きにくい」という特徴を持つシリコン塗料やフッ素塗料に魅力を感じるかもしれません。ただ単に「塗る」のではなく、塗装した後にどうなるのが理想なのかも含めて考えてみてください。
屋根塗装に使う塗料を選ぶときは、現在の屋根材に合うものかどうかも考えてください。屋根材には粘土瓦、セメント瓦、スレート、トタン、ガルバリウムなどいくつもの種類があり、塗料の向き不向きがあります。
好みの色で、希望の機能を持つ塗料であっても、屋根材によっては使えないことがあります。
今回は屋根の塗料の種類と特徴選び方について紹介しました。
屋根は日ごろからあまり見ることは少ない場所なので、気づいた時にはひどく傷んでいた、なんてことも珍しくありません。
大きな問題となる前に、定期的にチェックし、屋根の塗装や塗料についてある程度知識をつけておくと良いと思います。