佐井寺の住宅での雨漏り調査、修繕の様子です。
2階の天井の染みが大きくなってきたということで、まずは屋根の調査に伺いました。屋根は釉薬瓦の重厚な造りです。しかし経年により棟瓦がずれ始め、一部は倒壊していました。
丸い冠瓦が乗った、屋根の山になっている部分を棟と呼びます。屋根の面と面の境目には瓦同士の隙間があるので、四角く平たいのし瓦、そして一番上に冠瓦を並べて保護しています。本来なら真っすぐきれいに並んでいるはずののし瓦がずれて今にも外れそうになっているのが分かりますね。これが雨漏りの原因である可能性が大きいでしょう。
棟の施工には土が使われます。粘度のある土に瓦を固定し、補助として銅線でくくります。最終的にできた隙間には漆喰を埋めて、内部の土が流れ出すのを防いでいます。しかしその漆喰が劣化したり、土の固定力が弱まってきたりすることで棟がズレや倒壊を起こし、屋根を保護できなくなって雨漏りへとつながってしまいます。
剥がれかけた漆喰や外れかけた冠瓦も見つかりました。棟の脇から植物が生えているのは、内部の土が露出し水分を含んでしまっている証拠です。
棟の全体を一度解体し新しい棟をつくりなおす、棟の取り直し工事をすることとなりました。現在では、土ではなく、通した芯材に冠瓦をビスでしっかりと留める「ガイドライン工法」とう施工方法がありますので、今後は簡単に棟が崩れてしまうということはないと思われます。
釉薬瓦は日本では長く使われている屋根材で、日本人には親しみ深く、とても丈夫な屋根材です。ところが数十年も経つと部材が劣化し、特に棟は不具合を起こしやすい部分です。定期的な点検で雨漏りなどを防ぎましょう。点検・調査はアメピタまで。