ラバーロック工法は雨漏りの原因になる可能性があります
ラバーロック工法という名前を耳にしたことはありますでしょうか。
「耐震対策として屋根を強くしたい」
「台風で瓦がずれたり、飛ばされたりしたらどうしよう」
こういったお悩みを解決するために提案されることがあるラバーロック工法。訪問販売業者が安価であるはずのラバーロック工法を法外な施工価格で販売していたことが横行していたためラバーロック=悪徳業者=悪い施工というイメージがついてしまった工法です。
ラバーロック工法はその名の通り、ラバー(コーキング材)で瓦同士をロック(ずれないように固める)してしまう工法です。
確かに全ての瓦をロックしてしまえば、強風に強く、地震が起きても瓦が崩れて落下するという事態を防げるかもしれません。雨漏りということで考えても瓦同士の隙間を全て埋めてしまうわけですから、何となく雨漏りにも強そうな印象を受ける方も多いのではないでしょうか。
しかし事実は全く逆で、むしろラバーロックをすることにより雨漏りが発生してしまうことがあるのです。
実際瓦やスレートなどの屋根材は屋根の上に綺麗に並べられていますが、必ず隙間が存在します。もちろんそこから雨水が屋根材の下へと浸入してくるわけですが、必ずそのようになっていて、施工ミスでもなんでもありません。(雨漏りは屋根材の下に敷かれている防水紙がきちんと防いでくれています!)
この隙間こそ、構造上必要なものでこれらがあるからこそ雨漏りを防いでくれているのです。「隙間があるから雨漏りを防いでくるってどういうこと?」と思われる方も多いと思いますので、簡単にご説明します。
そもそも屋根材だけで雨の浸入を防ぐということを想定していませんから、雨が降れば水が屋根材の下に侵入します。「隙間」は浸入してきた雨水を排出するための重要な役割を本来は持っているのですが、ラバーロック工法で隙間を塞いでしまうと、その逃げ道としての役割を持つ「隙間」がなくなってしまうことでどこからか入り込んできた雨水が逃げ道を失い、また劣化した防水紙の穴を通り抜け、建物の内部へ浸入し、雨漏りに繋がってしまうのです。
また当然湿気などを逃す換気口としての役割も果たせなくなるため、屋根材の下でムンムンと湿気が溜まり、それらが野地板や防水紙を傷め、腐食や雨漏りの原因を生み出すことにも繋がります。
また他のリスクとして施工したラバーロックが劣化を始め、塞いでいたコーキングに亀裂が入り中途半端な隙間ができてしまうことで毛細管現象が起こり、屋根材の外側にある水を内側に吸い上げ、建物内部への浸入を許してしまうことで雨漏りへとつながることにもなりかねません。
正しい施工を行わなければ効果的なメリットを享受することができず、デメリットだけを被ってしまう可能性があります。必ずしもラバーロック工法自体が悪い工法ではなく、使い方なのです。もし頂いたお見積りやご提案資料の中に「ラバーロック工法」という文字を見つけたら、一度業者に聞いてみましょう。もしご紹介させていただいたような知識のない業者であれば工事を依頼するのを考え直した方が良いかもしれません。