屋根の上から瓦が落ちてくることがある、屋根を見てみると崩れているところがある、とご連絡をいただき、現場を調査しました。
今回お伺いしたのは築５０年近くになる立派な瓦屋根のお宅です。

お客様が気づかれたのは隅棟です。棟瓦が落下し、土台となっている土がむき出しになっています。
棟の崩れは雨漏りにつながります。早急に修繕が必要です。
しかし、屋根をよく見ると上の方にも棟瓦がなくなっている部分があります。
築５０年という経過年数から考えても地上から見えにくい箇所には他にも不具合があるかもしれません。
屋根に上って詳しく調査しましょう。

瓦が外れている箇所があり、全体的にズレたり歪んだりしています。
瓦が外れたところから下地となっている土が見えています。
通常、この土が瓦の隙間から侵入してくる雨水をシャットアウトしたり、土の粘度によって瓦を屋根に固定する役目を持っています。
しかし、この写真で見ると経年劣化で土が流れ出てしまっており、瓦屋根を固定する粘度がない状態になっています。
これが瓦がズレてしまう原因です。しかも土が減ったことでさらにその下にある木材が露出しています。
これでは建物に雨水が入り込んでしまいますね。一度瓦を撤去し、下地を新しくする工事が必要です。

屋根のあちこちに白い小石のようなものや土が散らばっています。
土は屋根の下地である葺き土が流れ出たものですが、白い小石はなんでしょうか。

それは「漆喰」です。
漆喰は棟の下部の半円の部分に詰められています。これがぽろぽろ崩れたものが屋根の上に落ちているのです。
漆喰があることで棟の土台である葺き土が雨水から守られ、流れ出ることを防いでいます。
漆喰が剥がれてしまうと棟全体の劣化が早まり、例えば強風や地震などで倒壊しやすくなるのです。
崩れていない棟にも歪みや漆喰の剥がれ、葺き土の流出が見られました。

今回の調査によりお客様には屋根全体の葺き替え、または瓦を再利用する葺き直しをお勧めし、ご検討いただくこととなりました。
大規模な屋根の修繕費は高額になりがちです。
定期的な点検やメンテナンスで費用を抑えて長持ちさせることが可能です。
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