平らに見える陸屋根にも、実は勾配があります。そもそも勾配がなければ、陸屋根に降り注いだ雨水を逃がす場所がありませんから、水を長時間滞留させないためにも勾配は必要不可欠なのです。とはいえ、陸屋根の勾配は肉眼では気付かないほどゆるやかなものですから、水捌けの良い屋根とは言えません。陸屋根の劣化しやすい箇所と合わせ、雨漏り対策のポイントについてご紹介いたします。
勾配とは、屋根の表面が水平面に対してどれだけ傾斜しているかを示す角度のことです。平らに見える陸屋根にもわずかな勾配(1/100~1/200程度)が設けられており、これを水勾配と呼びます。
水勾配がなければ、陸屋根にいつまでも雨水が滞留したままになってしまい、劣化が早まってしまいますから水勾配の持つ役割はとても重要なのです。
そもそも勾配の役割は、水勾配を確保して水の滞留時間を短くすることにあります。特に陸屋根は緩い勾配ですから、水が溜まりやすい環境であることは一目瞭然ですよね。勾配が果たしている役割をご紹介いたします。
勾配があることで、雨水や雪解け水を効率的に地上へ排水します。スムーズに排水することで、屋根だけでなく周辺部材へのダメージも軽減してくれます。
水が滞留する時間を減らすことは、防水層の劣化を防ぐのに有効です。勾配があることで屋根の表面が乾きやすくなり、水分を好むカビや藻の発生を防いでいます。
少しでも屋根に溜まった水の滞留時間を抑えることで、防水層への劣化を軽減し、建物全体の耐久性を維持します。
陸屋根は、屋根の中でも緩勾配(3寸以下)と呼ばれる屋根より勾配がないため、どうしても水捌けは悪くなります。一方、急勾配(6寸以上)の屋根は、傾斜の分雨水の流れがとてもスムーズですが、強風や台風の影響を受けやすいといったデメリットがあります。現在の屋根から勾配を変えるのはとても難しく、たとえ可能な場合でも大掛かりな工事になってしまいます。新築を購入する場合は、将来のメンテナンスを見据えて屋根の勾配を選ぶとよいでしょう。リフォームをご検討中の方は、現在の勾配に合わせた屋根材を選ぶことが重要なポイントになります。
緩勾配と呼ばれる屋根よりもさらに勾配が緩やかな陸屋根。それゆえ、陸屋根が陥りやすいトラブルを危険度別にご紹介いたします。
陸屋根は勾配が緩く、水が溜まりやすい環境ですから陸屋根全体が浸水しやすくなります。
特に台風や豪雨の直後は大雨だけでなく、枯れ葉や砂といったゴミに注意したいところです。台風や強風によって陸屋根に持ち込まれたゴミが排水溝を詰まらせ、正しく排水されずにいつまでも陸屋根全体が水を張っている状態は、陸屋根全体の劣化を早めてしまう原因となります。
長時間水が滞留している状態を放置すれば、いずれ防水層へダメージが及びます。
屋根材で覆われていない陸屋根は、塗膜やシートによって防水層を形成し、表面を保護しています。つまり、この防水層を突破されると、雨水や紫外線から守るものが無くなり、建物が直接ダメージを受けてしまいます。この状態まで放置することによって、雨漏りが発生することが非常に多いのです。
建物内部に雨水が浸入すると、雨漏りだけでなくカビの発生や木材、更には鉄筋にも腐食や錆びといった劣化が起こり、建物そのものの耐久性が衰えていきます。室内が雨漏りすると、生活が不自由になるだけでなくPCや家電など高額な製品も水濡れによって故障してしまうため、今すぐにでも補修工事が必要な状況です。
陸屋根の防水層には寿命があります。雨漏りが起きる前に、定期的な点検とメンテナンスを心がけることが大切ですよ。
17年前に建てた新築のベランダに雨水が溜まっているとお困りのお客様。判明したのは、「ベランダ床の勾配が施工不良で逆の方向へ流れている」という衝撃の原因でした。
ベランダ床の勾配を正常な位置にするため、まずは下地となる建材を床全体に貼り付けたら、上から更に床材を一枚一枚取り付け、排水に必要な正しい勾配を設けます。その後、FRP防水による防水工事が完了。雨が降るとベランダに長い間溜まってしまう水も、正しく排水されることを確認してお客様にもご安心いただけました。
今回行ったFRP防水は、液状の樹脂と強化繊維を組み合わせた継ぎ目のない防水層を形成していきます。硬化することで、高い耐水性と強度、耐摩耗性に非常に優れているのが特徴で、防水性では最も高い効果を発揮します。他の防水工事に比べて、費用が高額だったり、FRP防水には向かない建物も存在するのでそれぞれの住まいに合った防水工事をご検討ください。
陸屋根は、勾配が緩く水捌けが悪いことをお伝えしてきました。お住まいの陸屋根に以下の症状があれば、雨漏りへと発展する前に対策を行いましょう。
陸屋根の防水面を保護しているトップコートが傷んでいます。防水層を保護するためにも塗り替えをご検討ください。
小さいひび割れであれば、トップコートの塗り替えだけで済みますが、大きなものや深いものは下地に影響している恐れがあります。気付いた段階で補修を行いましょう。
防水層が傷んでいる状態です。放置すると内部に雨水を浸入させてしまう為、業者へ点検、補修を依頼しましょう。
防水層の下地に水分が入り込み、蒸発して防水層を押し上げている状態です。部分補修で済む場合もありますが、被害が大きい場合には防水工事が必要です。
陸屋根の勾配は、雨漏りを防ぐために非常に大切であることがわかっていただけたのではないでしょうか。適切な勾配を設け、定期的なメンテナンスを行うことで、建物の寿命を延ばし、快適な居住環境を維持することができます。陸屋根の点検、補修についてはプロに相談し、必要なメンテナンスを行うようにしてくださいね。
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