相模原市南区当麻にて損傷した棟瓦と冠瓦に棟瓦取り直し工事を行い修繕しました
建物は築30年以上が経過しており、将来的には建て替えを検討されているとのことでしたが、現時点では大規模な修繕の予定はないご様子でした。
ただし、瓦の落下によって近隣へ迷惑をかけてしまうことを特に懸念されていました。
現地で屋根の状態を確認したところ、美しい青緑色の瓦が全体に葺かれていましたが、棟の部分では異常が見られ、屋根の頂点にある冠瓦が本来の位置から外れ、軒先側へズレ落ちかけており、偶然にも引っかかって落下を免れている状態でした。
また、鬼瓦の一部が外れかかっていたほか、漆喰の剥がれや棟を固定している銅線の切断も確認され、棟全体に歪みが生じていました。
こうした劣化を放置すると、強風や台風時に棟瓦が飛散・落下する恐れがあり、雨漏りの原因にもつながります。
そこでＫ様とお話しを重ねた結果、屋根全体の改修ではなく、必要箇所を中心とした部分的なメンテナンスとして棟瓦の取り直し工事を行うことになりました。
棟の歪みを整え、瓦の固定力を高めることで、雨漏りへの備えとともに近隣への安全にも配慮した施工内容です。
ビフォーアフター
工事基本情報
| 施工内容 |
|
|---|---|
| 築年数 | 36年 |
| 施工期間 | 2日 |
| 工事費用 | 詳しくはお問い合わせ下さい |
軒先には雪止め金具が設置されていたため、位置に注意を払いながら梯子をかけ、屋根の状態を確認しました。
Ｋ様邸の屋根は青緑色の瓦で美しく葺かれており、建物の形状は母屋下がりの切妻屋根、さらに棟の途中が段違いになった意匠性の高い造りでした。
全体を見渡した限りでは、大きな損傷や劣化は見られず、一見すると良好な状態のように見えました。
しかし、Ｋ様によるとこれまで屋根のメンテナンスを実施した記録はないとのことで、念のため細部まで確認を進めました。
その結果、平場の桟瓦には割れやズレ、めくれといった不具合は見られなかったものの、屋根の頂点に設置されている棟瓦の一部が外れかけていることを確認しました。
棟の上部を覆う冠瓦のいくつかが固定を失い、軒先方向へ滑り落ちていました。
幸いにも、ケラバ側の破風板に打ち込まれていた電源ケーブルに引っかかっていたため、完全に落下することなく屋根上に留まっていましたが、非常に危険な状態です。
このままの状況では、強風や台風の際に瓦が落下・飛散し、通行人や近隣の建物へ損害を与える恐れがあります。
また、冠瓦が外れているということは、棟の下地や瓦そのものが十分に固定されていないことを示しています。
経年によって漆喰の接着力が低下し、冠瓦を支えきれなくなったことも、外れの要因と考えられます。
さらに、棟端部の鬼瓦にも傾きが見られ、全体的に固定力が弱まっている状態でした。
棟に不具合があると、雨水が内部へ入り込みやすくなり、雨漏り発生の原因にもつながります。
こうした状況を踏まえ、安全性と防水性を確保するため、棟の歪みを整え直す「棟瓦取り直し工事」を行うこととなりました。
棟は銅線でしっかりと固定されているため、一本ずつ丁寧に取り外しながら解体を進めていきます。
棟の内部には想像以上に多くの葺き土や粘土が詰められており、作業中は土埃が舞いやすく、屋根面も滑りやすくなるため、注意が必要です。
そのため、あらかじめガラ袋を準備し、発生した葺き土や破片をこまめに回収しながら作業を進めます。
この工程は見た目以上に手間と時間を要する作業ですが、仕上がりの精度を左右する重要な工程でもあります。
右の写真は、解体および清掃が完了した状態です。
棟の土台に使用されていた葺き土をすべて撤去し、屋根面全体が清潔な状態に整えられています。
棟瓦取り直し工事では、既存の瓦を再利用するため、冠瓦や熨斗瓦を破損させないよう、一枚ずつ丁寧に取り外しながら慎重に進めていきます。
ここでは南蛮漆喰「シルガード」を使用し、棟の下地部分へしっかりと詰め込んでいきます。
従来の瓦屋根では、棟の仕上げに白い漆喰が多く用いられてきました。
この白漆喰は現在でも内装などで使われていますが、屋根に使用する場合は風雨や紫外線の影響を受けやすく、経年でひび割れや剥離が起こることがあります。
一方、「シルガード」は防水剤を配合した南蛮漆喰であり、従来品と比べて強度・耐久性ともに優れています。
棟部分の密着性を高めることで、雨水の侵入を防ぎ、長期間にわたり安定した状態を維持できるのが特長です。
なお、弊社では棟瓦取り直し工事の際に、この「シルガード」を標準仕様としています。
また、ご希望やご予算に応じて、さらに高強度な「モルロック」を使用した施工にも対応しています。
まず、野地板にビスを打ち込み、鬼瓦を銅線で確実に固定します。
また、土台の整形段階であらかじめ銅線を仕込んでおくことで、後に棟瓦を取り付ける際、より強固に固定できるよう準備を整えます。
続いて、平らな熨斗瓦を一枚ずつ丁寧に積み上げていきます。
その際には水平器を用いて、瓦の高さや角度を確認しながら慎重に施工を進めます。
せっかく新しく棟を組み直す以上、わずかな歪みも許されません。
職人の繊細な手作業が求められる工程です。
Ｋ様邸の棟は、熨斗瓦を４段積み上げる構造となっていました。
「一段目を設置したあと、シルガードを塗り込み、その上に次の段を重ねる」この工程を４回繰り返して積み上げていきます。
最後に冠瓦を据え付け、あらかじめ仕込んでおいた銅線でしっかりと固定すれば、棟の再構築は完了です。
写真は手順の説明のため、解体途中の様子をわかりやすくご紹介しています。
大棟および隅棟の解体では、大量の葺き土や粘土が発生します。
これらはすべて手作業で回収し、梯子を使って地上へ下ろす必要があるため、非常に根気のいる工程となります。
また、瓦の解体時には、外した瓦が屋根から滑り落ちて破損しないよう細心の注意を払うことが大切です。
再利用を前提とした施工のため、一枚でも破損すると正しい棟の仕上がりに支障をきたしてしまいます。
特に現在では、製造が終了している瓦や、同色・同質の瓦が入手困難な場合も多く、瓦屋根の工事は一つひとつの作業を慎重に進める必要があります。
そのため、棟を解体したあとは、取り外した瓦をきれいに整列させ、風や振動で落下しないようしっかりと安全対策を施しておくことが重要です。
まず、シルガードを丁寧に塗り込み、しっかりとした土台を形成します。
同時に、仕上げ工程で瓦を固定できるよう銅線を仕込み、最後に冠瓦を据え付けてから銅線で結束し、固定を行います。
この銅線は、棟そのものを支えるためのものではなく、万が一の際に瓦が落下しないようにするための補助的な役割を担っています。
棟の固定や構造を保持しているのは、あくまで漆喰の強度です。
実際、経年劣化した屋根の点検に伺うと、銅線が切れているにもかかわらず棟が倒壊していないケースをよく見かけます。
これは、内部の漆喰がしっかりと役割を果たしているためです。
ただし、漆喰も年月の経過とともに硬化や剥離が進み、次第に固定力が弱まります。
そのため、定期的な詰め替えや、今回のように棟瓦取り直し工事を実施し、棟の倒壊や雨漏りを未然に防ぐことが大切です。
棟の歪みやずれは、放置すると雨水の侵入を招き、雨漏りの原因となることがあります。
瓦屋根の異変を少しでも感じられた際は、早めに専門業者へ点検を依頼されることをおすすめします。
弊社では、和瓦・洋瓦を問わず、棟の補修や取り直し工事など、あらゆる瓦屋根のメンテナンスに対応しております。
安全で美しい屋根を維持するためにも、どうぞお気軽にご相談ください。
屋根全体を確認したところ、桟瓦部分には大きな損傷もなく、釉薬仕上げの青緑瓦は美しい光沢を保っており、今後も住まいをしっかりと守ってくれる状態です。
弊社では、棟瓦取り直し工事を1mあたり税込18,150円～承っております。
棟の段数や構造、使用する材料によって費用は変動しますので、詳細はお気軽にお問い合わせください。
今回の施工では、耐久性と防水性に優れた南蛮漆喰「シルガード」を使用しています。
この素材は、内装用の一般的な白漆喰とは異なり、防水剤やシリコンを配合することで、雨水の侵入を防ぎ、長期間にわたり安定した性能を発揮します。
近年は台風や強風などの自然災害により、瓦屋根の棟が倒壊する事例も増えています。
定期的な点検や早めのメンテナンスが、屋根トラブルを未然に防ぐ最善の方法です。
長く点検をされていない瓦屋根では、気づかないうちに雨漏りが進行している場合もございます。
弊社では、無料の点検調査を実施しておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
Ｋ様、この度は数ある業者の中からお任せいただき、心より感謝申し上げます。
こちらの記事を書いた施工店【アメピタ横浜支店】
アメピタでは、地域密着お客様第一主義を掲げ、お客様のご不安をいち早く解決できる為に出来る限り迅速に対応させて頂いております。
雨漏りは、「屋根だけ」や「外壁だけ」など、単体の知識や経験だけでは止まらないケースがあります。アメピタでは、それぞれの専門的な知識に加えお住まい全体を捉え、雨漏りを止める知識と技術を持ち合わせております。
雨漏りでお困りの時はアメピタ横浜支店にお任せください。
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