ビフォーアフター

工事基本情報

点検の様子

　調査にお伺いしたのは自治会様が保全・維持されている管理棟です。築35年が経過しており全体的な経年劣化が目立つと判断しメンテナンスを検討されていました。陸屋根が劣化すれば広範囲にわたる雨漏りを生じさせる恐れがありますので、早い段階で修繕を行っていく必要があります。排水口周辺を確認したところ長年にわたり少しずつ蓄積された土埃で雨水の排水を妨げている状態でした。

　また床面と壁となる立ち上がりの笠木にクラックが見られ、多少なりとも吸水している可能性が高いと感じます。排水ドレンはいくつかありましたが最も雨水が通る場所として劣化しやすい傾向があります。そこで今回は比較的安価・高耐久で複雑な形状にも施工しやすいウレタン塗膜防水によるメンテナンスをご提案させていただきました。
　ウレタン防水工事には2種類ありますが、新築時や下地が良好な段階で施工するのが密着工法、そして雨漏りを起こしていたり築年数の経過などで下地が劣化している場合は通気緩衝工法(絶縁工法)を行います。今回は築年数も経過しており下地の影響を受けやすいと感じたため、通気緩衝工法(絶縁工法)をご提案いたしました。

施工の様子

　陸屋根の防水工事を開始します。まずは高圧洗浄で下地に付着している汚れや苔、藻をしっかり洗い落していきます。表面を綺麗にすることで塗料の密着性も良く高耐久な防水層を形成することができます。洗浄後はしっかり乾燥させ下地補修を進めていきます。

　まずは樹脂モルタルを全面に塗り、下地にあるクラックや凹凸を綺麗に埋め平滑にしていきます。その後細かな部分に関しては丁寧に確認しながら樹脂モルタルで補修していきます。ここで仕上げた下地が防水層の根本的な勾配(傾斜)を決めるポイントですので、丁寧に施工していきます。

　排水ドレンはまず改修用ドレンと呼ばれる鉛製の管を通し、周辺からも雨水が入り込まないように防水処理を施していきます。その後全面にプライマーを塗布し、通気緩衝シートを貼りつけていきます。通気緩衝シートを貼ることで下地と防水層を完全密着させないまま防水層を形成することができます。そうすることで下地から発生している湿気・水蒸気等で防水層に膨れやしわを起こすことなく、同時に取り付ける脱気筒から排出させることができます。

　通気緩衝シートの突き合わせた部分にはテープで接着させ、先にウレタン樹脂塗料で保護しておきます。その後はいよいよウレタン塗膜防水工事です。全面偏りがないように均一に塗布していきます。

　1層目のウレタン塗膜防水だけで見違えるほどきれいになりました。その後2層目のウレタン塗膜防水工事を行い、十分な厚みの塗膜を形成していきます。しかしウレタン塗膜防水層は太陽光等に弱いため、このままでは耐用年数よりも短いスパンで劣化してしまいます。

トップコートで表面保護

　そのため最後はトップコートと呼ばれる硬膜なコーティング塗料を全面に塗り防水層を保護します。トップコートには防水性は全くありませんが、歩行時の摩擦や太陽光等にしっかり耐えてくれるため定期的な塗り替えがオススメです。トップコートは5年程度でひび割れや剥がれを起こすようになりますので、防水層が傷んでしまう前の再塗装を定期的に行っていきましょう。