ビフォーアフター

工事基本情報

点検の様子

　調査にお伺いしたのは築30年になる2階建て戸建て住宅です。瓦屋根全体の経年劣化が気になっており、雨漏りを起こしてしまう前に補修したいというご要望がございました。その為まずは瓦屋根全体の状態を確認していきます。
　瓦は塗装の必要性はありませんが経年変化で色あせやムラを起こすいぶし瓦です。特に瓦の性質を低下させるものではありませんのでご安心ください。棟瓦の並びも綺麗な状態を維持されていましたので、雨漏りの心配はないようにも感じます。

　平瓦も綺麗に整列されていました。瓦の一部を剥がし防水紙の確認をしてみると、長くメンテナンスはされていないのか防水紙自体は経年劣化が見られました。さらに劣化が進行すると防水紙の剥がれやたわみ、切れを起こしてしまうので、耐用年数である20～25年ほどで補修を行う必要があります。

　瓦全体の状態を見ると、平瓦の重なり部分にシーリング材がしっかり施工されていました。これはラバーロック工法と呼ばれる施工で、瓦を固定し強風等でもずれにくくする効果があります。しかしこれは誤った施工で、瓦をぐるっとシーリング材を打設してしまっている状態です。これを行うとどうなるのか、通常屋根材の下部に雨水が入り込むことは想定されています。そのため屋根材には雨水を排出するだけの隙間が存在します。このラバーロック工法はその隙間をすべて埋めてしまっている為、内部に溜まった雨水や水蒸気は下地を傷め、いずれは毛細管現象による雨漏りを起こしてしまいます。

　正しいラバーロック工法は部分部分で固定していく施工ですが、あくまで一時しのぎ、気休めに近い固定力です。また差し替えが容易な瓦を固定してしまっている為メリットはそれほどありません。アメピタではラバーロック工法をオススメしておりません。シーリング材が付着している瓦を再利用することも難しいため、今回は軽量なコロニアル屋根材での葺き替え工事をご提案いたしました。

施工の様子

　屋根葺き替え工事の開始です。まずは瓦屋根と下地木材の撤去をまとめて行っておきます。露出した防水紙を見ると野地板ごと抜けて穴が開いてしまっていました。作業中のことではありますが経年劣化が進むと野地板が簡単に割れてしまうこともありますので、補修・補強を行っておく必要があります。

　今回は既存野地板に対して構造用合板を増し張りして補強しています。また頂部には一部換気棟を設置する為排気孔となる隙間を設けておきます。野地板で下地を作った後は防水紙(ルーフィング)です。今回使用する防水紙は改質アスファルトルーフィングのカッパ23という製品ですが、通常の防水紙よりもシール性が高く、固定で開けたタッカーの穴を綺麗に塞いでくれます。

　雨漏りを起こさないよう防水紙を施工したら、役物とコロニアル屋根材を軒先から順に施工し屋根葺き替え工事は完了です。換気棟は誤った施工さえしなければ雨漏りを起こすことなく、内部の換気が可能ですのでお住まいが暑いと感じる方にはおススメです。

工事を終えて

　瓦からコロニアル屋根材への屋根葺き替え工事が完了しました。瓦屋根から軽量なスレート屋根材に葺き替えることで住宅への負担は軽減、耐震性は向上、新規屋根材ですのでしばらくメンテナンスフリーとなりました。ただ今後は瓦屋根とは違い塗膜の劣化によって屋根材が傷んでしまいますので、定期的な塗装メンテナンスを行い雨漏りを起こさないよう気を付けていきましょう。