ビフォーアフター

工事基本情報

点検の様子

　補修のきっかけとなったのは敷地内に落下してきた屋根材の欠片です。まとまって落下したことに対しても驚かれていましたが、屋根が破損したままでは雨漏りを起こしてしまうかもしれないという不安が大きかったようです。そこで早速屋根に梯子をかけて調査を開始しました。
　使用されている屋根材はスレートですが、厚みのあることが特徴的なクボタのアーバニーと呼ばれる屋根材です。こちらはアスベストの使用規制が始まった2000年前後に開発・販売された屋根材ですが、割れが生じやすく、踏んだ際に下まで抜け落ちる可能性もある非常に危険な屋根としても知られています。屋根修理業者はもちろん知っている屋根材で、調査時に上らず確認することもあります。

　屋根の一部は部分的に差し替えられた部分も見られますが、スレート屋根材の部分差し替えは言うほど簡単ではありません。ある程度経年劣化が見られる屋根材を剥がした時点で割れてしまうこともありますので現実的ではありません。今回強風等の影響で一気に割れてしまったアーバニーですが、このままにしてしまうと屋根材の下部が露出した状態になってしまいますので、補修が必要です。

　今回廃盤製品ということもあり部分的な改修も出来ないことから、アメピタでは屋根カバー工法による全面改修をご提案させていただきました。

工事の様子

　工事開始です。まずは屋根材の端部に取り付けられていた差し棟板金をすべて取り外していき、出来る限りフラットな状態にします。その後は粘着性のルーフィング(タディスセルフ)で雨水が浸入しないよう、軒から棟まで貼り重ねていきます。棟では防水紙をしっかり重ね合わせ隙間が出来ないよう納めます。

　その後は専用役物を取りつけ新規金属屋根材を施工していきます。屋根カバー工法は既存屋根材の上に施工する工法ですので、撤去・処分の手間や費用がほとんど掛からず比較的安価に施工することが可能です。また屋根材が二重に仕上がることで遮音性や断熱性が向上します。

　その一方で屋根が二重になる事で重量が増します。そのデメリットを軽量な金属屋根材を使うことで最小限に抑えることができます。今回使用した金属屋根材は錆びにくく高耐久なガルバリウム鋼板「スーパーガルテクト」です。裏側に断熱材が付いていることで、スーパーガルテクトだけでも高い遮音性・断熱性が見込めます。
　
　金属屋根材の場合、谷板金や棟板金も同じ素材で施工することが出来るので、統一性が高く上品な仕上がりになります。

　屋根の形状に合わせ加工・取り付けをしていき、頂部は貫板で下地を作ります。新築時もそうですが、一般的に棟の下地には木材が使用されます。棟板金でしっかりと覆われる為全く問題はありませんが、さらに耐久性に優れた棟に仕上げるために、プラスチック樹脂製の貫板を使用することもあります。費用は木材よりも割高ですが吸水性が低く劣化しにくいため、強風の影響を受けやすい棟の状態を補強したいという方はお気軽にご相談ください。

工事を終えて

　今回廃盤製品で部分補修等が出来ないクボタのアーバニーを、軽量なガルバリウム鋼板屋根材「スーパーガルテクト」による屋根カバー工法で全面改修することが出来ました。破損した部分からも雨漏りを起こすことなく補修が終了し、お客様も大変安心していらっしゃいました。

　今回のアーバニーのように廃盤製品になっている屋根材は数多く存在します。誤った施工方法で無駄な出費をしないためにもしっかり正しい屋根の知識を見つけ、補修に役立てていきましょう。